第36話
さて、これをどうやって数値化したものだろうか。
ステータスを見てみると、残念ながら直接数字に現れていない事がわかる。
NAME:ツムラ
LV:21
EXP:5650(NEXT:260)
HP:115/115
MP:110/110
ATK:105+5
DEF:105+5
MAG:105+3
MID:105
AGI:105
SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』
+5とかは、装備による補正だ。
クロによると、支援魔法で補正が入ると更に+Xされるらしい。
つまり、現在治癒魔法によるバフはこういった補正に含まれていないということ。
まぁ、そりゃあステータスってのは魔力の産物で、身体強化のドーピングは肉体をそのまま強くしてるんだから反映されるわけないよな。
「ん、魔力の産物?」
「どうしたの?」
一つ思いついた。
人はステータスによる暴力を加減することができる。
何かと言えば、森で木を加工してたときの話しだ。
俺は木を素手で破壊できるが、加減すれば木を加工する程度に力を抑えることができる。
「これは、無意識に魔力の出力を抑えてるってことだよな」
「そうなる」
「じゃあ、意識してステータスを特定の数値で抑えることもできるよな?」
「……多分できる」
魔力の操作が極端に巧くないと無理だろうけれど、とクロは付け加えるが。
その辺りは俺の得意分野だな。
「ステータスを抑えてタイムを測ってみよう」
これで全速力より一秒遅いタイムになったステータスと、治癒魔法による強化の総量は同一だ。
んで、やってみたところ――
「――治癒魔法による強化の効果量は+10か」
概ね無難な結果が出た。
「ん、支援魔法のバフ、初級なら最大で+15」
「初級の治癒魔法と考えると、まぁ無難なところか」
なんとなく妥当なところに収まったな。
「とはいえ、これには利点もある」
「利点?」
「効果時間だ。支援魔法のバフって確か最大でも数分だったよな」
だから戦闘中に逐一かけ直さないと行けない。
効果量が高まれば高まるほどに、効果時間が減っていくという難点もある。
「が、治癒魔法には
「……バフの効果、一時間?」
「いや、正確にはもう少し短い」
治癒魔法によるバフの原理はドーピングだ。
だから、そのまま効果を終了すると、終わった時身体にダメージが行く。
だから効果が終了する前に、傷ついた身体を元通りにする効果も必要だ。
それにはリジェネってると十分かかるので――
「効果時間は50分だ、少なくとも一回の戦闘でこれが切れることは間違いなくない」
「なるほど」
とにかく、バフとしては少し特殊な仕様だが、割と満足の行く結果になったな。
なんて思いながらその日は適当に薬草を収集して帰ったんだが――
「――治癒魔法のバフがステータスに反映されてる」
NAME:ツムラ
LV:21
EXP:5760(NEXT:150)
HP:115/115
MP:110/110
ATK:105+5
DEF:105+5
MAG:105+3
MID:105
AGI:105+10
SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』
翌日、そんなことに気付いた。
「ん……多分、女神様反映させた」
「マジで。そんなことできるのか!?」
「女神様、すごい」
これアレだよな……新仕様を一日で実装したってことだよな。
……女神様、お疲れ様です!
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