第27話

 クロは、手際よく色々なアイテムを買い揃えていく。

 生活用品や、ナイフ等の旅先での便利アイテムなど。


「割と、俺の世界と使ってる道具はそんなに変わらないな」

「かつてこの世界を訪れた愛子達、とても頑張った」

「先達の現代チートに感謝だな」

「げんだいちーと?」


 そういう言葉は伝わってないのか。

 まぁいいけど。


「……ツムラ、つまらなくない?」

「いいや、まったく。見てて楽しいし、クロが思った以上に商売上手で驚いてる」

「妖精は、色々な場所にいく。人間モードで街を歩くことも多い」


 人付き合いは苦手だが、できないわけじゃない、と。

 どちらかというと、慣れていることなら苦にならないタイプなのかもしれない。

 ここに来るまで、俺とクロは何度も言葉を交わしているが、出会った頃より今の方が圧倒的にクロは口数が多い。


 俺に慣れてきてくれているんだろう。

 ……だから、あんな風にからかってきたりするんだろうが。

 見た目はともかく、年齢は間違いなくクロの方が上だろうからな、こればっかりは仕方がない。


「わたしは……楽しい」

「ならよかった」

「……こうやって、誰かとデートするの、初めてだから」


 そうやって、少し恥ずかしそうにクロは言う。

 ……これ、からかってるんじゃなくて、天然でやってたりしない?

 クロ、恐ろしい子……!


「そうだ、次はツムラも楽しい場所に行く」

「というと?」

「――武器屋」


 なるほど、それは確かに楽しそうだ。


 武器屋に入ると、様々な武器と防具が飾られている。

 異世界の武器屋にイメージする光景そのままだ。

 ちょっと感動。


「いらっしゃい」


 そして、出てきたのもいかにもといった感じの堅物そうなドワーフだった。

 いや、本当にドワーフなのかは解らないが。

 でも背丈が小さくて、ヒゲがふさふさな人がドワーフじゃなかったら驚きである。


「ようこそ、ドワーフ工房に」


 何から何までそのままだった。


「武器と防具を見せてくれないか?」

「新人の冒険者か……あっちが新人向けだ、適当に見て言ってくれ」


 クロは再び荷物袋に。

 庶民的な服装で、装備も何も身に着けていない俺を、ドワーフ店主は一発で新人冒険者と見抜いたようだ。

 説明だけすると、奥に引っ込んでいってしまった。

 ドワーフだからぶっきらぼうなんだろう。


 まぁ、クロと気兼ねなく話せるので、こっちの方が助かる。


「武器は最低限、ツムラのATKとMAGなら、このあたりの魔物、十分」

「防具を重視しろってことだな。まぁ、俺の防御ステータスを考えれば当然か」


 いいながら、鉄でできた鎧の近くに行くと名前が表示される。

 この世界のこういうところ、すごく便利で助かるぜ。

 名前をタップすると、ステータスを観ることもできた。


 『鉄鎧』

 種別:防具(鎧)

 効果:DEF+10


「……防具でめっちゃDEF上がるな!?」


 一般的に、だが。

 そりゃ防具を重視しろってなるわけだ。

 そもそも俺じゃなくても防具は最重要だよこれ!

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