第25話

 やはりレベルを上げるにはクエストしかない。

 冒険者として大成し、依頼をいっぱいこなして経験値をもらうのだ。

 なので、気を取り直して冒険者の話を受付嬢さんとする。


「はい、これで登録は完了です。次は冒険者としての役割ロールのお話をしますね?」

「ロール……っていうと、アタッカーとかタンクとか?」

「そうです」


 そうなのか。

 異世界なのにロールがあるのか。

 この概念を持ち込んだのは転生者だな、俺も受付嬢さんみたいな名探偵になってきた。


「基本的な役割は四つ、ツムラさんのおっしゃったアタッカーとタンクの他に、ヒーラーとバッファーです」

「なんとなくどういう役割かはわかる」」

「ツムラさんでしたら……やはりタンクがおすすめでしょうか」


 ……まぁそうなるよな。

 HPはゴミカス以下のナメクジ干物野郎とはいえ、そもそもダメージすら通らないんだ。


「とはいえ、スキル的にバッファー以外なら何でもできるので、ツムラさんの好みで良いと思いますよ?」

「ふーむ、なら一つ聞きたいんだが」


 はい、と受付嬢さんが次を促す。


「タンクって、パーティの需要としてどうなんだ?」

「パーティの需要……ですか」


 これは推測なんだが、経験値は依頼を達成するだけでなく、パーティの中で味方に貢献することでも稼げるんじゃないだろうか。

 善行を為すことが経験値を得る条件なら、何も依頼の達成だけが経験値取得の条件ではないはずだ。


 だったら、パーティを組むことはレベリングの近道になる。

 人付き合いに関しては、まぁオタク相応の俺でも、需要があればパーティくらいは組めるだろう。


「そうですね……率直に言えば、アタッカーでなければどの役割も相応に需要はあると思います」

「ああまぁ……そう言われるとそうだよな」


 なにせヒーラーとバッファーはスキルがないとできないし。

 タンクは、敵の攻撃を一身に受ける立場だ。

 度胸がないと、やりたいとは思わないだろう。


「ただ……ツムラさんのステータスでアタッカーをしないのも、もったいないんですよねぇ。スキルも火魔法を初期習得ですから、アタッカーに向いていますし」

「あー、中級の魔法スキルを覚えるのって、取得した順番が関わってたりするのか」

「はい。ツムラさんはレベル20でアイテムボックスを覚えたので例外ですが、魔法スキルを覚えた方の多くは、レベル20で最初に覚えた魔法スキルの中級を取得します」


 なるほど。

 レベル20のスキル取得ってめちゃくちゃ大事だったんだなぁ。

 そこでレアスキルを引いたほうが、普通はラッキーなんだろうけど。

 冒険者をやるなら、中級の魔法スキルの方が都合がよかったかもしれない。


 とはいえ、俺ならそこをステータスで補える。

 アタッカーとしても、問題なくやっていけるだろう。


「そうですね……少し自分なりに考えてみます」

「はい、それがいいと思いますよ」


 結論は、保留。

 まぁ無難だな。

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