第24話
――低すぎる、そうか低すぎると来たか。
とくれば、これは説明せざるを得まい。
早口で、俺のユニークスキルを!
「あ、でもこのステータス」
いや、普通に察してくれそうだ。
受付嬢さんは聡明なのだろう。
「……ユニークスキル、ですか」
「ええ、まぁ」
「ユニークスキルは、ご存知だと思いますがレアスキル以上に他人に明かしてはいけないものです」
存じ上げないです。
レアスキルもダメなの?
俺一回晒しちゃったんだけど、止めてよクロ!
「ですがこれは……ステータスを見れば、どんなスキルなのかはおおよそ想像がついちゃいますね」
「そうなんだよ。……そういえば、ユニークスキルはスキル名が他人には映らないんだったよな?」
クロがそう言っていた。
「ええ、私にはスキル名がモザイクがかって見えます……が、おそらく“ステータス上昇均一化”ですよね? 文字数的に」
「……流石にそこまで推測が当たってると、受付嬢さんが名探偵に見えるな」
「あ、えっと、ごめんなさい」
いえいえ。
「俺は他人のステータスを見たことがないので、違いがわからないんだけど。そんなに変なのか?」
「はい。一般的に、レベルが21ならHPは四桁が普通です」
「そんなに」
レベルが上がっていないので、今まで掲示してなかったが、現在の俺のステータスはこう。
NAME:ツムラ
LV:21
EXP:4850(NEXT:1060)
HP:115/115
MP:110/110
ATK:105
DEF:105
MAG:105
MID:105
AGI:105
SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』
商人を助けて結構増えた。
が、お気づきだろうか、50はゴブリンを倒したことによる経験値である。
さすが最弱、スライムと同じ経験値。
まず味。
こほん。
「MPは、概ね平均だと思います。ATK、MAG、AGIはとても優秀です。レベル21なら、平均はこの半分くらいですから」
「そんなに」
「この三つのステータスが、一度のレベルアップで上がる数字は1から5がランダムです。なので、よっぽど運が良くないと三桁までは届きません」
「ほとんどありえない確率なのはわかった」
で、MPはもう少し伸びる、と。
3から8くらい? 10伸びることもあるかも。
「じゃあ、DEFとMIDは?」
「それは……」
そこで受付嬢さんの顔色が、また変わる。
「高すぎます」
――おお。
これは、なんというか。
ある意味で、俺のチートの方向性がはっきりしたかもしれない。
「防御に関わるステータスは、本来ほとんど伸びないんです。よくて3、0なことだってあります」
「それが三桁……」
「この世界では、攻撃ステータスが防御ステータスを越えていないと、HPを傷つけることはできないんです」
つまり。
俺はHPはゴミカスだけど、その分そもそもHPに攻撃が届かないくらいカッチカチってこと?
「ツムラさんのステータスなら、同じレベル帯の相手に負けることは……ないと思います。下手をすると、倍以上の相手にも」
なんというか、俺のチートはとてもシンプルだった。
まぁ、ないよりはマシだ。
そういえば、レベリング中毒者として気になったので、聞いてみる。
この一ヶ月近いレベリングの成果を、この世界の基準で評価してもらいたいのだ。
「ちなみに、レベルはどうですか?」
「それは――」
それは?
「普通ですね」
ツムラさんくらいのお年なら、レベル21は平均的ですよ、とのこと。
……なんか、別にバカにされてもいないのに、とてもがっかりしてしまうのだった。
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