第14話
「ごめん、魔物にとって妖精、最高の餌」
「ああ、それで狙われてるのか」
疑問は即氷解した。
だが、事態は何も解決していない。
三体、そうかぁ、三体か。
まぁ、なんとかなるだろ。
しばらくすると、すごい音を出して三匹のイノシシが三方向から迫ってくる。
それを観察すると違和感を覚えた。
「一匹黒いのがいるんだけど?」
「……毒を持ってて、針を飛ばす、変異種」
「まじかよ」
そういえば妖精さん、毒で死にかけてましたね。
毛を針みたいにして飛ばしてくるんだろう。
そいつは厄介だ。
しかも、明らかに他の二匹と比べて強そうだ。
「まずは取り巻きを倒す」
「できるの?」
「やったことがあるからな、できるっちゃできるだろ」
その時は、遠距離から魔法引き撃ちだったけど。
今回はさっき治癒魔法を何回も使ったのもあって、無駄遣いはできない。
「俺に捕まってろ、絶対に離れるなよ!」
「うん」
とりあえず、毒針邪ノシシ以外は、この間戦った邪ノシシと同じだ。
突進以外の攻撃手段がないが、脚力がすごすぎて地面を歩く度にぐちゃぐちゃにしてくる。
厄介だが、今回は利用させてもらおう。
「ぶもおおお!」
迫りくる三匹の邪ノシシのうち一匹に、俺は突撃する。
ぐらぐらしている地面に気を使いながら、突進をギリギリで躱してそのまま張り付くように追いかける。
そうすると、残り二匹がこちらを囲むように旋回し始める。
いや、違う。
「……近づけなく、なってる?」
「そうだ、邪ノシシはでかい、早い、走ると地面が割れるって特徴がある。この特徴のせいでお互いが近づけないんだよ。危ないからな」
「なるほど……」
感心する妖精さん。
俺は気を取り直して肉薄した邪ノシシに殴りかかる。
「おら!」
でかいので攻撃は外れなかった。
だが、少し吹き飛ぶだけで倒れる気配はない。
「防御力が高いって感じじゃないな、HPが多くてタフなのか」
「うん」
厄介だ。
だが、もっと厄介なヤツがこっちを見ている。
毒針邪ノシシが、足を止めて毛を逆立たせているのだ。
「毒針が、来る、気をつけて」
「解ってる。俺に策ありだ」
だが、来るとわかっていれば怖いものではない。
俺は自分の出せる最大速で、肉薄している邪ノシシの後ろに回り込む。
邪ノシシは突然のスピードに対応できていない。
これぞウサギ先生直伝の緩急!
そして毒針邪ノシシが、毒針を放つ。
「来るよ」
「来い!」
そして、毒針は――俺が盾にした邪ノシシに突き刺さった。
「よし!」
完璧だ。
みるみるうちに邪ノシシの身体が黒く染まっていく。
毒が効いているんだろう。
この気を逃してはいけない。
俺は再び、邪ノシシに拳を叩き込んだ!
間断なく、連打である!
オラオラ!
しばらくすると邪ノシシが倒れた。
「同じ要領でもう一体だ」
「頑張って」
妖精に応援されながら、毒針を持たない邪ノシシに飛びかかる。
その後、数分格闘してこちらも倒すことができた。
残るは一体。
敵の親玉、毒針邪ノシシである。
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