第12話

 拠点は概ね完成を見た。

 レベル上げも順調に進んでいる。

 おそらくこのあたりで一番強いだろうイノシシも倒した。


 それからも、俺は順調に魔物を倒し続けた。

 そして、その時が来てしまったのだ。

 ずっとこうなるんじゃないかと思っていたのだが、ついに。


 NAME:ツムラ

 LV:20

 EXP:1900(NEXT:2000)

 HP:110/110

 MP:105/105

 ATK:100

 DEF:100

 MAG:100

 MID:100

 AGI:100

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』


 レベルアップに必要な経験値が跳ね上がってしまった。

 にしてもいきなり2000て。

 これまで集めた経験値の総量より多いじゃないか。


 とはいえゲームでもよくある話だ。

 レベルが上がるごとに必要な経験値は増えていくもの。

 ネトゲとか、指数関数的に増えていくし。


 後、『アイテムボックス』のスキルを手に入れた。

 効果はこう。


 『アイテムボックス』

 種別:レア

 効果:異次元にアイテムを収納することができる。生物は収納できない。


 レアとユニークは何が違うのか。

 ユニークは完全一点もので、レアは他の人間も持ってるということか。

 というか、スキルはレベルが5上がるごとに一つ手に入るものなのだろうが。

 まさかこれ、入手できるスキルは完全ランダムなのか?


 ……今更気づいた事実だが、俺の習得したスキルがこいつらでよかった。

 汎用性という意味では、非常に頼りになるスキル群だからな。


 とはいえ、今回の必要経験値でいよいよ決心がついた。


「そろそろレベリングを切り上げて、周囲の探索に本腰を入れよう」


 最近の俺は、安定しすぎていた。

 レベリングも順調で、拠点も快適。

 同じ生活の繰り返しになっていた。


 そろそろ、足踏みを辞めて前に進むべきだ。

 そういうことになった。


 アイテムボックスという、異世界モノの定番スキルも手に入ったことだし。

 これのお陰で、拠点の各種ベッドやまくら、なんなら風呂だって収納できてしまう。

 まるで、世界が俺に旅立てと言っているかのようだった。


「アイテムボックス」


 アイテムボックスの使い方は、まずスキル名を口に出す。

 するとステータスのように画面が空中に浮かぶ。

 画面には収納と設置の二つのボタンがあって、収納は文字通り収納。

 周囲の収納できるアイテムが一覧になっていて、タップすると収納される。

 設置は、ボックス内のアイテムを任意の場所に設置する。

 設置しようとすると、俺の視界には半透明のアイテムが映るので、これをいい感じの場所に置くとアイテムが出現する。

 便利だ。


「では、いままでお世話になりました!」


 最後に、拠点にそう挨拶して俺は森を後にする。

 これまでの探索で、森の出口と思われる場所は発見済みだ。

 そこへ向かおう。


 そう思って、先に進んでいくと。



 俺は、傷だらけで倒れた妖精を見つけた。



 この世界で、初めて出会った俺以外の人型生物だった。

 次回に続く。

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