第11話
クラフトへ夢中になっていたが、レベル上げも続けていく。
ウサギ先生のおかげで、俺はだいぶ戦闘に自身が付いた。
というわけで、次なる目標を探しに更に奥へ進むわけである。
木に目印をつけて、一直線に進んでいく。
結構歩いたが、森の終点はどうなっているのだろう。
まさか無限に森が続いているとかじゃないだろうな。
それはそれとして、新しい目標は見つからなかった。
スライムとウサギ先生しかいないぜ、この森。
でもなぁ、もう少しなにかいると思うんだよな。
具体的に言うと、足跡。
明らかにウサギではあり得ない大きな足跡を、時折見かけることがある。
獣の足跡なんだろうが、どういう種類かまでは判別できない。
「多分、臆病なんだろうな。人に見つかりたくないのか」
まぁ、なんだかんだ言って人間は全長150↑の長身だ。
動物からしてみても、結構怖いもんだろう。
食料がないならともかく、この森は食うものには困らなそうだし、敢えて遭遇したいと思うものでもないか。
「ん、食料?」
……そいつをおびき寄せる案を思いついたぞ?
というわけで、ウサギ肉を使って罠を張ることにした。
といっても難しいことはしない。
森の一角にウサギ肉を放置するだけだ。
いくつかポイントを設置して、ウサギとスライムを狩りながらそこを一日かけて回る。
レベリングの効率化という意味でも、肉の使い道という意味でも、いい落とし所だった。
一日目、肉が食い荒らされた形跡があった。
効果はありそうだ。
二日目、肉を食い漁っている影を見かけた。
すぐにそこへ駆けつけたが、向こうもこちらに気付いていたのか逃げられてしまった。
そして三日目、ついにそいつを見つける。
でかいイノシシだった。
「デカすぎんだろ……」
全長数メートル。
対して脚はかなり小さい。
俺の予想では、クマとかそういう感じの動物だったのだが。
明らかにモンスターって感じのイノシシがでてきた。
……勝てるよな? これ。
「ぶもおおおおおお!」
「やっべ」
イノシシは、逃げられないと見たか、こちらに襲いかかってくる。
速度はウサギの比ではない。
これだけ強いなら、人間から隠れなくてもいいと思うんだが。
「うおっ!?」
慌てて避けると、不意に態勢を崩してしまった。
何とかこらえて足元を見る。
地面が割れていた。
イノシシの突進で、地面がぐちゃぐちゃになっているのだ。
「戦いにくいな!?」
正直、やることはウサギと変わっていないので戦いやすい相手だと思っていたのだが。
意識を切り替えないと。
もとより、初回の戦闘で出し惜しみをするつもりはない。
「炎よ!」
強くイメージをして、炎の矢を作る。
MP上限まで注ぎ込まれた魔力は、煌々と燃え上がり周囲を照らす。
「ぶもっ!」
イノシシが怯えた。
火が怖いんだろう。
俺は、躊躇うことなく火の矢を放つ。
一発目が命中した。
怯えた隙を見逃さなかったからだ。
続けざまに矢を連発する。
こいつはこちらに近づけさせない。
こっちが動かなければ、圧倒的に有利になる。
「おらぁ!」
「ぶもお……」
しばらくそうしていると、イノシシが倒れて消える。
勝利だ……
手に入ったEXPは……100点!
三日間の狩りなどと合わせて、俺のレベルはついに18になった。
NAME:ツムラ
LV:18
EXP:1530(NEXT:180)
HP:100/100
MP:30/95
ATK:90
DEF:90
MAG:90
MID:90
AGI:90
SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』
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