第5話
めでたいことに、レベルが10になった。
NAME:ツムラ
LV:10
EXP:450(NEXT:100)
HP:60/60
MP:55/55
ATK:50
DEF:50
MAG:50
MID:50
AGI:50
SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』
「美しい……」
きれいな数字が並んでいると心が澄み渡るようだ。
とはいえそれは、雑多な数字を積み上げた結果きれいになった方がより美しいのだが。
レジの会計で端数がでないとか、そういうやつ。
「治癒魔法か……定番だなぁ」
そしてスキルも増えた。
『治癒魔法:初級』
種別:治癒魔法
効果:己が内なる魔力を活力に変え、傷を癒やす。初級限定。
すでに、これまで『火魔法:初級』で検証しているが、この世界の魔法の使い方はこうだ。
まず、魔法を使うイメージを固める。
次にその魔法にどれだけ魔力をつぎ込むか決める。
注ぎ込める魔力は等級によって決まっていて、初級だとMP5が上限らしい。
MP5でできる範囲なら、どんな形にでもできるようだ。
火魔法なら、炎の形を自由に決めることができる。
炎の矢を作ってもいいし、炎の剣を作ってもいい。
治癒魔法なら、傷を癒やすだけでなく、毒とかも治せるのではないだろうか。
何にせよレベルが10になった。
予てより考えていた、ある計画を俺は実行に移す時が来たのだ。
「よし、遠征に出よう」
拠点にしていた洞窟から、離れた場所に行ってみようというのである。
単純に、そろそろスライムを倒し続けているだけでは一日に1レベルを上げることが難しくなってくる。
俺も強くなったはずだ。
ここらで、戦う相手を変えてみようという話。
俺のいる当たりは、スライム以外に湧く魔物がほとんどいないらしい。
ここ数日、あるき回ってもスライムしか見つからない。
だが、初日に探索している時は違った。
動物みたいな魔物もいたのだ。
今回はそれを倒してみようという話。
最悪、この拠点に帰ってこれないことを考えて、持てるだけのスライムゼリーを持っていく。
スーツの上着を袋代わりにして、俺は洞窟を出た。
レベルを上げて、最も恩恵を感じたのは、実はAGIである。
「おおお、脚が早い。人の出せる速度じゃないぞ」
俺の身体能力は、初期レベルが前世における俺の身体能力とイコールだった。
だから、俺の脚力は雑に計算すると現在、前世と比べて十倍以上になっている。
まぁ、体感流石にそこまでって感じでもなさそうだが、それでも人を辞めた速度には変わりない。
調子に乗って上半身を動かさず下半身をダカダカ動かす、どこぞの古いアニメみたいな走りをしながら、森を進む。
途中、迷わないように木々へ手刀で目印を入れていく。
力を込めて木を削ると、紙を裂くように木がえぐれる。
これもレベルアップの成果だな。
そうして走っていくと、ついに見つけた。
大きい角をはやした、うさぎみたいなモンスターだ。
これも、なんか割と定番みたいな見た目をしているな。
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