第4話

 次の日、目を覚ましてびっくり。


 NAME:ツムラ

 LV:5

 EXP:105(NEXT:50)

 HP:30/30

 MP:25/25

 ATK:25

 DEF:25

 MAG:25

 MID:25 

 AGI:25

 SKIIL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』


「何もしていないのにEXPが溜まっている……」


 これはどういうことか。

 HPとMPも全快している。

 寝る前に魔法を使ったこともあり、どう考えてもMPは全快するには時間が足りない。

 なので、寝るとHPとMPは全快するんだろう。


 これは身体で体感できた。

 こんなごつごつとしたいわばで寝ても、目覚めたらスッキリ爽快。

 これまでずっと、仕事の疲れが朝起きても取れなかったので、快眠という感覚は久しぶりである。

 なんて素晴らしいんだ。


 問題はEXPの方である。

 寝る前は間違いなく100だったので、おそらく寝たときに何かしらの要因で溜まっている。

 考えられるとすれば、魔物を倒す以外の行動でもEXPが入る仕様で、それを精算するのが睡眠ということだろうか。


 昨日した行動といえば、スライムでレベリング、拠点の探索、ゼリーを食べるくらいである。

 後は火魔法を使って焚き火を作ったな。

 ……もしかして、これか?

 何かを「作る」という行為にEXPが入る可能性はないだろうか。

 具体例はクラフトゲームである。

 毎度おなじみ四角いサンドボックスのアレだ。

 アレだと、何かを作っても経験値が入る。

 製鉄とか、料理とかだ。

 同じことが焚き火を作るという行為にも発生しているのでは?


「なんてレベリング中毒者に都合の良い世界なんだ、ここは」


 とにかく検証である。

 これにはいい方法があった。

 拠点の改築である。

 いくら朝起きればすべての疲れがリセットされていると言っても、寝る時の環境は最悪である。

 寝入りがとにかく悪いのだ。

 特に昨日は、色々と不安もあって、中々寝付けなかったし……


 周辺の探索とマッピングも合わせて行う。

 出社中だったのでスーツのポケットにメモ帳とペンが入っていて助かった。

 カバンを事故のときに落としてしまったのは不覚だったが、スマホとこれさえアレば、しばらくは困らない。


「探索と合わせて、スラムも狩っていかないとな」


 一日に見つかる数は、そこまで多くはない。

 大体毎日十ちょっと。

 それでもレベルはガシガシ上がっていく。

 気がつけばもうすぐレベル10だ。


 スライムを倒すのは、拠点の改築にも関わってくる。

 ゼリーを使うのだ。

 拠点の一角にゼリーを集め、チクチクしなさそうな葉っぱを上から被せれば……


 最高級ベッドの完成だ。

 これまで眠ったあらゆるベッドより寝心地が良かった。


「素晴らしい……」


 そしてベッドが完成した翌日、EXPをチェックすると……溜まっている。

 クラフトなどの行動によりEXPがたまり、それが夜に精算される。

 どうやら推測は確かなようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る