第13話 シンシアの気持ち

side シンシア


 ――最近のクロードが可愛すぎる件について話をしましょう。


 あの頭を打ってしまった日から、クロードは変わりました。


 今までは話しかけても無視か、「ああ、うん」とかそんな冷たい反応しかしてくれなかったクロードは、今では毎日私に話しかけてきてくれます。


 それだけでも幸せの絶頂なのですが、最近は訓練にも精を出して、汗を流すクロードの姿を見ることが出来て、もう感無量と言わざるを得ません。


「クロード……クンクン」


 今日もクロードが洗濯に出した上着を部屋へと持ち帰り、匂いを楽しんでいます。

 クロードには悪いと思いつつも、なかなかやめられない悪い癖です。でも、クロードが可愛すぎるのが悪いんですよ?


 直接匂いを嗅いでいる時がもちろん一番なのですが……。最初は恥ずかしがっていたクロードも最近ではしっかりと匂いを嗅がせてくれるようになりました。


 剣を教える時などはもう、たまりませんね。

 構え方を教える時、うしろから抱きつくようにして教えたのですが……。そのときの興奮は今でも忘れることが出来ません。

 

 さらに、ランニング後のクロードの首筋に垂れる汗を見ている時も胸が高鳴って仕方がありません。すぐにでも抱きつきたいのを我慢している私を誰か褒めて欲しいです。


 この前は一緒にお風呂にも入りました。クロードは慌てていましたが、私も内心すごく焦っていました。だってクロードの裸、ですよ?


 湯気であまり見えませんでしたが、小さい頃に見た体つきから逞しく成長していました。日頃の訓練の成果で筋肉もつき、大人っぽい体つきです。


 もっと近づきたかったのですが……。さすがに自重しました。えへん。


 さて、そんなクロードなのですが……。最近は一つ問題があります。


 私の手を離れて、ダンジョンに行きたいというのです。ダンジョンに行くのは構いません。


 ですが……、一人で、となると私は認めることが出来ませんでした。


 もちろん、クロードが成長して、独り立ちしていくのは嬉しいのですが……。それ以上に寂しいのです。


 いつまでもクロードは私の隣にいて欲しいと思うのは、私のエゴです。クロードの未来はクロードのものですから。


 しかし……。私は今のこの状況をもう失いたくないのです。これからクロードが成長して、いろんな出会いをして……。変わっていくクロードを隣でいつまでも見ていたいです。


 ですから……。私のわがままを聞いてくださいね、クロード。


 

──

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