1学期編
第1話 入学
今日から私は入学するわけなのだが、ここを選んだのはこの学園が有名という事以外にも理由がある。それはこの学園のとあるシステムが関係している。才華学園にはランキング制度というものがあり、学年ごとに上位7位までの生徒達がランキング化され特別な訓練や実戦を受けることが出来、更には卒業時に
当然日々ランキングは変わるので卒業前に上位7人に入れても卒業時に圏外だった場合、
私の目的の為にも
あの日から約1年が経ったが、特に姉の桔梗に動きは無い。どこで何をしているか今は分からないが必ず……私が見つけ出す。
部隊と合流しての実践経験も積ませて貰えるようなので、とにかく最速でランキング入りを目指す。それが現状の私の目標となる。
「このクラスの担任、
1学年全体の説明会が終わり、現在1年1組の教室では担任の自己紹介が行われていた。第一印象としてはしっかりしていて頼れそうな女性の先生だなと思った。しかし芥川竜胆……?どこかで聞いたことのある名前だ。
その日は寮生活の事もあるのでそのまま解散となった。私も寮に向かおうかなと考えていると隣の席の女子と目が合い、
「……私は隣の席の
どうやら沈黙が耐えられなかったらしい。
「私は東雲四葉、よろしく」
「お、おう……それじゃ私は行くから」
そう言って花音は教室を出て行った……のでその後を追う。
「な、なんで着いてくるんだよ!」
「私も寮に行くし、ご一緒しようかなって」
別にいいけど……とごにょごにょ言いながらも花音は歩くスピードを緩めてくれた。
「……あ、早速ランキング出てる」
その言葉に足を止める。
「見せて」
ちょ、近ぇよという言葉を聞き流し花音のスマホの画面を覗く。そこに私の名前は無かった。
「これって入学前のデータを元に上位7人が決まったって事?」
「そうなんじゃねーの?まだ試験とか受けてないわけだし」
「そうとも限らんよ~?」
花音との会話に知らない女子生徒が入ってくる。ネクタイの色が私達と違うな、先輩かな。
「どなたですか?」
「バカお前!生徒会長だぞ!説明会の時居ただろ!」
「ええよええよ、ウチの名前は
小豆沢先輩は笑いながらそう言った。私達2人も名前を名乗り自己紹介を済ませる。
「そんな事より"そうとも限らない"ってどういう事ですか?」
入学初日からなにかしらの方法でランキングに入る事が出来るということだろうか。
「ランキングは成績や試験結果で変動する数値、『レート』で決まるんよ」
「ゲームセンターにある音ゲーとかで使われてるやつ……ですね」
「そそ、花音ちゃん賢いなぁ」
そう言われて花音は恥ずかしそうにへへ……と声を漏らす。褒められて満更でも無さそうだ。
「そのレートをあげる方法は他にもあってな、生徒同士で模擬戦闘すればいいんよ」
「模擬戦闘?」
「両者の合意があれば出来て勝ったらレートが上がる。相手のレートが高ければ高いほど勝った時の上がり幅が大きく、逆に低い相手と戦っても全然上がらん、余りに離れてると全く上がらないって感じ」
なるほど……両者の合意さえあれば、ランキングを上げることも出来るのか。
「そんな模擬戦闘の事を私らは"ランクマッチ"と呼んでてな。ランクマッチ用の体育館とかあるんやで~ステージもコロコロ変わるんよ!」
「ほんとにゲームみたいな名前ですね、それ」
分かりやすい名前ではあるんだけど誰が名付けたんだろうか。
「せやろー?まぁウチが名付けたんやけど」
あんたかい。
「でもどうせアルカナ持ちの奴らがランキング独占ですよ。魔法とアルカナじゃ力が違い過ぎて勝負になりませんし……私達みたいなパンピーには無理無理」
「いや私アルカナ持ってるけど」
「そうだよなー、ははは……は!?」
まぁ珍しいしそんな反応されてもおかしくは無いとは思うけど……。そんなに疑いの目を向けないで欲しい。
「マジか……ラッキー」
花音は小声で何かを呟いていたが何を言っているかは聞き取れなかった。それよりこの話を聞きながら1つ思いついたことがある。
「別の学年同士でも出来るんですか?」
「両者の合意があれば出来るで〜」
「小豆沢先輩ってランキング入ってます?」
「……3年の1位〈ファースト〉やけど?」
「お、おいまさかお前……」
「やりませんか、私と"ランクマッチ"」
小豆沢先輩の口角が少しだけ上がった気がした。
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