転:箕輪結華梨(セクシーハロウィンのすがた)~お披露目~

「はーい、お待たせ!」

 階段を降りてきたミユカを目にして。

「は、」

 仁輔はフリーズし、

「ふぁっ!?」

 あたしは立ち上がる。


 ざっくり言うとビキニである。首の後ろで紐を結ぶ、ホルターネックと呼ばれるタイプの。紫とオレンジでハロウィン感を出している……のか? それ以上に肌色成分過多だが? だから今日こんな部屋あったかいの?

 腰まわりは黒いフリルと悪魔の尻尾、頭にはコウモリの羽をあしらったカチューシャが載っている、これはまあ分かる。あと髪はツインテールになってた、高校の途中からはめっきり封印していたガーリー全開ツインテールの電撃復活である。うれしい。

 そして手にはレース地のアームカバー、足にはニーソックス。柔肌に食い込む黒ニーソである。フェチでしかねえよこんなの。


「えへへ、びっくりした?」

 ダンス部仕込みの軽快なターンで全身を見せつけてくるミユカを前に、あたしは言葉に迷う――いや可愛いよ、めっちゃ可愛いよ、けど可愛いって言うにはセクシーに振りすぎというかしかしエッチすぎると正直に言っていいのか、そもそも全体的に布の配置ミスってるだろしかし超絶似合うんだよいやしかしまずは突っ込むしかねえだろこれ。


「ミユカ……なんで宅飲みでハロウィン限定ガチャURみたいなえちえちコーデなの!?」

「もっと分かりやすいツッコミあったよね!?」

 女子ふたりのツッコミが交錯する中、部屋に響くチャイムの音。


「あ、ピザきた」

「俺が行く俺が行く、支払いは済んでるんだよな」

 結華梨が呟いた瞬間、仁輔が動き出す。恥を忘れて動ける使命感の塊である、そりゃビキニの彼女なんて人に会わせられまい。これで応対する女なんてハプニング系AVの中だけだよ。

「……いやエロすぎでしょミユカ」

「うん、この面子じゃなきゃここまではしない」

「仁はともかくあたしは良いのかよ」

「だって義花好きでしょ、女のえちえちコーデ」

「いや好きだけどさ」

 あたしがガチ百合であることを知ったうえで、結華梨はあたしの女の好みに興味を示してくるのだ。そもそも結華梨は男女を問わない肉体フェチだからね、前の飲み会では仁輔そっちのけでレズ物AVについて語り合ったくらいだ。


「ありがとうございました~ハッピーハロウィーン!」

 ピザ配達ニキの陽気な声。戻ってきた仁輔は顔が真っ赤である。

「えへへ、仁くん可愛い……」

「ねえミユカ、君がやりたいのって羞恥プレイ?」

「そんな感じ」

「そんな感じかあ……」


 ドスケベ衣装でノリノリの彼女、韓国風ドラキュラでガチガチの彼氏、そこに巻き込まれたなんちゃって魔女。

 先生、これって誰が一番恥ずかしいんですか?

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