第33話、魔王軍、崩壊(他人視点)

私はあれから出来る限りの証拠を集めてお兄様に渡し、後は私の私兵でお兄様に挨拶をしてきた時に殺せるように待ち伏せをしていた。



本当にテンガには感謝をしたいぐらいなのにどうして本人は来ないのか、おそらく理由があるのであろうけど私には分からなかった。



でもおそらくであるけど私やお兄様のために動いていると私は信じているから私は出来ることを精一杯にするだけと考えているとギリワン・ボルケーノがとうとう姿を現したというのだ。



全く、テンガによって企みをバレていることにも知らないでと思って私はお兄様の合図を待っていた。



「ギリワン・ボルケーノ、良くぞここまで来れたものだな。褒美としてこれを差し上げよう・・・読んでみると良い」



そうしてお兄様はギリワン・ボルケーノがこれまで裏でしてきた事やそして謀反などの証拠を見せつけたのであった。



するとギリワン・ボルケーノが笑いながらお兄様や私達に対して言葉を放ってきたのである。



「フッフッフッフッフッフ、良くぞここまで調べたものだな。それにこのわしの企みを気づけた事だけは評価をしてやろう、それでもわしからすれば大した問題ではない。計画が予定よりも少しばかり前倒しになっただけだからな」



そう言ってギリワン・ボルケーノがお兄様に対して魔法を放って攻撃をしてきたので私は物陰から出て魔法を防いでお兄様を守った。



しかし、魔王軍四天王筆頭だけにかなり威力で私は防ぎはしたがダメージは受けていたが他に一緒に隠れていた私兵たちが現れてギリワン・ボルケーノを包囲して逃さない様にしていたが相手は余裕そうな表情をして話をしていた。



「さて、これでわしを包囲して捕らえられると思っているのか?それよりもアーナス、わしの妾にならないか。なるのであればそこにいる兄を助けてやっても構わないが」



「貴様、この状況が理解できないぐらいに見た目通りにボケでも始まったのかな。この魔王である吾を助けてやっても構わないだとそれは本来ならば吾の言葉であったがもう決まった、ギリワン・ボルケーノ、ここで死ぬが良い」



そう言い終えたお兄様はギリワン・ボルケーノに対して魔法を放って殺そうとしたがその魔法はギリワン・ボルケーノの前で急に消えてしまったのだ。



私は何が起きているのか理解できずに混乱していたがお兄様は理解したみたいで驚いていたけど、それで理解したのはお兄様でも予想していなかったことが起きてしまったという事実だけは理解できた。



でもこれだけの戦力差を簡単に負けるはずがないその上にお兄様までいる以上は負ける事があればそれこそ魔王軍自体が崩壊してしまいます。



なんせこの時のために信用出来る魔族の貴族たちの殆どを集結させており、間違いなくこの魔王城に戦力を集中している。



ただ、前線やあまりにも辺境な土地の貴族までは呼べなかった。そこにはあの私が気になっているテンガも含まれていたけどここまで揃っているならたとえ神が降臨しても戦えるだけの戦力は揃っていた。



そう考えていた瞬間にお兄様が急にギリワン・ボルケーノを包囲していた者達に対して包囲をやめて逃げろと言って何を言っているのですかと言う前にギリワン・ボルケーノの周りにいた私の私兵たちがあっと言う間に無残な姿になって死んでいた。



嘘、何が起きたのと驚いていたらさらに驚くな光景をこの目で見てしまったのである。それは殺された私の私兵たちをあのギリワン・ボルケーノが食べてきたのであった。



私は目の前の光景が信じられなくて恐怖を覚えて震えてしまっていた。逃げたいと思っていたけどお兄様の前でそんなことは許されないので必死に自分に鼓舞をして攻撃命令を出して一斉攻撃をしたのである。



それなのに魔族の中でもエリートしかさせていない貴族たちまでまるで雑魚のように蹴散らしてはその死体を食べて更に強くなっていっていることが私の目からでも理解ができてしまった。



駄目、このままでは私だけではなくてお兄様ですら超えてしまう魔族になってしまうと感じて私はすぐにお兄様に声をかけようとした時にはお兄様はギリワン・ボルケーノとの戦いを始めていたが互角と言える勝負で私が助太刀する暇はなかった。



お兄様ならあのギリワン・ボルケーノなど倒せると信じていたがここでお前たちに絶望をさせてやろうと言ってから更に1段階に強くなった。



嘘でしょう、お兄様よりも強くなっていると嫌でもその肌で感じ取ってしまった。現実に一気にお兄様が押され始めて受けるダメージが大きくなりそのままお兄様がギリワン・ボルケーノの痛恨の一撃を受けて吹き飛ばされてしまった。



どうすれば良いのよ!お兄様を倒せる化け物を私でどのようにすればと思っているとギリワン・ボルケーノはさて、本日のメインディッシュと言いながらお兄様に近づいていたのを確認して私は敵わなくても守らないと思いで立ちふさがった。



するとギリワン・ボルケーノが不気味に笑いながら私に対して話しかけてきたのである。



「これはこれはアーナス様、いかが致しましたか。これから吾はメインディッシュするところですから用事がありましたらその後にでもいくらでも聞いてあげますけど」



「いい加減にしなさい、貴方がお兄様を殺すのは分かり切っております。私は敵わなくても守らないと思いで立ちふさがりました。来なさい、少しでも足止めをしてみせますから」



「フッフッフッフッフッフ、そんなに強がらなくても吾には分かっておりますよ。怖くて逃げたいと思っているぐらいには」



実際にその通りであった、本当なら今すぐにでも逃げ出したかったけどお兄様は私に残された最後の家族だから逃げてたまるものかと必死に逃げたいと思っている私に鼓舞をしていたがその瞬間に私は攻撃を受けてお兄様と同様に吹き飛ばされてしまった。



吹き飛ばされて私は痛みのあまりに動けない体の代わりに口を動かして必死にお兄様と叫んでから逃げてくださいと必死に伝えていたがお兄様も逃げられるほどの体力はなくなっておりそのまま捕まってしまった。



嫌だ嫌だ嫌だと必死に言いながらも私は見ているしかできなかった。するとお兄様がこちらを見てきて私に対して話してきたのである。



「済まないな、こんなに弱い兄で申し訳なかった。アーナス、お前だけでも逃げて生き延びろ・・・アーナス・・・魔王と振る舞いばかりで兄と何一つしてやれなくて・・・ごめんな」



そう最後の言葉を私に伝えてお兄様はギリワン・ボルケーノに食べられて殺されてしまったのだった。



・・・あっ・・・・あ、ああ、お、お兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!



「フッフッフッフッフッフ、これで吾は・・・ギリワン・ボルケーノは世界の支配者になるのだ!!ハッハッハッハッハッハッハ!!」




私は今、絶望に包まれてしまったのであった。

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