第30話、隠れたメッセージ(他人視点)
私はアーナス、お兄様である魔王を支えている大幹部の一人であります。もちろんのこと身内だから侯爵になれたと言われないように努力をしているつもりはある。
しかしそんな私でも最近、桁違いに成果を上げているものがいることに気になって仕方がなかった。その者はテンガ・ヒノモトと言ってどこにでもいる普通の天狗だと思っていた。
お兄様が推薦で魔王軍に入れたのも天狗は催眠などで人を操ることに長けている存在でそれを見込まれて入ってきたと思っていた。
私はその様な手段が本当に大嫌いだから私は意地悪のようにツナミ・ノマレールと共に当時、最大クラスに問題を抱えていた部隊の隊長を任命した。
すぐにボロが出るだろうと考えていたが実際はそんな事はなくむしろでよりも真面目に武功を上げていった。
そうして身分が上がってもその対応は一層に真面目さを見せてこれこそ貴族のあるべき姿ではないかと思ってしまうぐらいに彼は必死に頑張っていた。
なのに四天王はもちろんの事に最近ではお兄様まで彼のことを陥れようとしていた。誰よりも頑張っている彼を捨てることになったら人間に勝てないと理解していた。
あの成り上がりと周りは馬鹿にしているけど馬鹿にしている者たちはあなた達が馬鹿にしている以下しか出来ていないのよと怒って言いたいぐらいであった。
彼がいなければ魔王軍は間違いなく今よりも辛い立場に立たされていたのを救ったのは彼なのに周りは誰も評価をしない。既に彼は四天王になれるほどの功績を上げている。
空席があるのであれば彼にそれを与えるべきだと私はお兄様に必死に説得をしても聞いてくれることはなかった。
それどころかこの前には信じられない勝利を上げたのに処罰をしようとした。私はなんとかしたけど結局、彼は処罰されて領地が減ってしまった。
もし、彼が魔王軍を辞めてしまったらどうするつもりなのですかと聞くとその前に殺すから心配はするなと言って私はどうしたら良いか分からなくなった。
だから私はパーティと装ってまずはテンガにこのことを伝えた上で私が必死に何とかしますからやめないでくださいと伝えるつもりであった。
そのために手紙を書いて送ったがその返答が来たらと思うと私が書いた手紙が墨でほとんど見えなくなっておりそして向こうからの手紙の内容は手紙を繰り返してとしか書かれてなかった。
これを見た私の部下たちが大激怒していたけど私はむしろこれぐらいで済んでいるなら良い方だと感じ取っていたが何か違和感を感じていた。
私が必死に考えていた時にここでテンガの手紙を思い出した、手紙を繰り返してとなので私は自分で書いた手紙を読める場所だけを繰り返して読んでみた。
「火」、「家臣」、「反乱」、「起きる」
・・・もしかしてこれって私に対するメッセージ!?と彼が何を伝えたいのかが理解をしたのである。
四天王筆頭である、炎を司る、ギリワン・ボルケーノが裏切る準備をしていると私に伝えているのだ。
ギリワン・ボルケーノ、人間で言えば五十代ぐらいの人物で周りからはかなり慕われている人物であるが奥底が見えないでいる人物でもある。
この場には私の腹心達しかいないのであり得ないですよと言われたので私はすぐに説明を始めた。
「まず、彼がなんでこのようなやり方で伝えてきたと思う。それはみんなも知っているかも知れないけどギリワン・ボルケーノはお兄様に匹敵する権力を持ち合わせているわ」
まあ、それは確かにその通りなことで先代から仕えてかなりの権力と実力を持ち合わせしており魔王様の右腕とも呼ばれていますからそれぐらいはと腹心たちが返すとアーナスが続けて話をしたのである。
「もし、普通に知らせを手紙に書いたら途中で気づかれてしまい私のもとに届くことはないでしょう。だからこそ彼はこのような形で知らせてきたのと私はそう考えている。ギリワン・ボルケーノの目をかいくぐって私に知らせる為には」
腹心たちはならなんでテンガ・ヒノモトはギリワン・ボルケーノの企みに気がつけたのでしょうかと聞かれた時に私は彼の情報網はかなりの物なのかそれとも彼がギリワン・ボルケーノの配下に催眠魔法で問いただしたのかは私にも分からないけど確実に言えることはあった。
このままでは国の危機が訪れてしまうことだけは確実と言えた。ならば今すぐにでも対策をしなければならない、手遅れになる前に対抗する準備を。
その後はなんでこの事を魔王様ではなくてアーナス様に伝えてきたのですかねと腹心たちから聞かれたときに私はそれはお兄様はテンガさんの事を信用していないからきっと話しても対応してくれないと判断をしたのでしょう。
あの時に私がテンガさんを助けたからこの人なら信じてくれると思って伝えて来たと私は信じています。
その後に腹心たちが準備をしながら一応、ギリワン・ボルケーノが黒なのかを調べてみると結果は真っ黒すぎて何も言えなくなった。
お兄様を殺して私を妾にするつもりでいるらしい、確かに前から変な目で見られていたことは知ってはいたけどここまでそうなると軽く気持ち悪いと感じていた。
でもこれで真実だと理解したのでお兄様にも協力してもらえると私は一安心をした。けれども私はまだ不安が残っているような気がしてならなかった。
それならばなんでテンガさんは直接ではなく手紙に書いて教えてくれたのかが私が解けていない謎であった。まだ完全に信用されていないで言えばそれで終わりかもしれないけど私にはそれ以外の意味も含まれているように感じてならなかった。
その時に腹心の一人がそれにしてもなんで墨で手紙を汚したのですかねと疑問していて私は考えていた時に私は怖い仮説を一つ思いついてしまったのだ。
黒い墨、墨は元々は液体であり、液体はすなわち水・・・もしかして裏切ろうとしているのはギリワン・ボルケーノだけではないと私はそう考え始めていたのであった。
そう言えば最近、よくお兄様と一緒にいるのでやけに怪しいと思っていたけどもしかしてと私は考えてそちらの対応も考えることにしたのだった。
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