第25話、やはりそうなるよね
俺は魔王様からこれ以上に手柄を立てさせないようにするためにエルフの国、攻略の任から外れてその代わりにツナミ・ノマレールが総大将として攻略する事になった。
いや、魔王様に申し訳ないのですけど彼女に軍事的な才能は欠片もありませんから。強いて言えるとすれば調略などは上手いかもしれませんですけど。
ともかく彼女では無理だろうと考えていた時に俺の領土に彼女が通ることになったので挨拶をすることになった。
子爵になったけど相手は伯爵なので無視することはできなかった。俺よりも上の存在は魔王様、魔王の妹である侯爵、そして魔王軍四天王である生存している三人ぐらいだからかなり少なくなった。
けれどもよりによって来てほしくない上の存在が来てしまうのだと内心ではかなりいやいやであるけど仕方がないと思いながら迎えるのであった。
「久しぶりね、テンガ。知らない間に子爵までなっていたのね。とりあえず、昇進おめでとうと言っておこうかしら」
「はい、ありがとうございます。地道に功績を上げてなんとかしてここまでこれました。ここは魔王軍の四天王として恥ずかしくない戦いをお願い致します。後方支援はお任せて下さい」
そう伝えるとツナミはそうなら早速お願いをしようかしらと不気味に笑みをしてこちらを見てきていた。
何をお願いするつもりなのかと警戒をしているとツナミは兵が足りないからあなたの兵の一部を私に寄越してくれると助かるけど、駄目かしらと言ってきた。
俺は、はあ!?と声に出しそうになったけどなんとか抑えて必死に作り笑みをしてからそれは難しいかもしれませんと伝えた。
なんせ、多くの魔族は俺の古参の部下だしエルフたちはかなり気が難しい種族だし天狗は・・・まあ、自我が強すぎて困るぐらいの連中だから呼びかけても誰も来ないと思うけどなと感じていた。
あれからこの領土を維持する為に今では五千まで兵力が増えていたので確かにほしい気持ちは理解はできるけどなと思ってみていた。
するとなら早速、明日からやり始めるわねと伝えてきて当分の間、ここにいるつもりかよと思っていたらツナミが隣にいるアーシャが気になっているのか声を掛けてきたのである。
「あら、見かけない顔ね。私のことを知っているかしら私はツナミ・ノマレール伯爵だけど貴女は何者かしら」
「私はテンガ・ヒノモトの妻、アーシャでございます。見ての通りに私はエルフでございますのでどうか宜しくお願いします」
うん?妻までは行き過ぎじゃないかと思ったけどそれも悪くないかなと感じているとツナミがここに滞在する時に彼女を世話係としたいと言い出したのである。
向こうは女同士だから心配はしないでと言ってきたけどそれは大きな間違いであった。ツナミ・ノマレール伯爵は想像を超えるほどの女好きでしかも彼氏とか旦那持ちの女ばかりを寝取るのが趣味だと言うばかりに狙っているのだ。
そのお陰様でどれだけの男が涙を流したことが知れ渡っているが最終的にその男性も魅了させて奴隷にしているから結果的に苦情や声が上がらないのだ。
その為にそんな所にアーシャを連れて行くわけにはいかないと感じて断った。すると上の身分に逆らうつもりなのかしらと言われたので俺は言い返した。
「確かに潔白であれば断った俺が悪くなるのは当たり前なことです・・・ツナミ殿が本当に潔白であればの話ですけどね。私は知っていますからね、貴女はどんな本性なのかそして狙いも大体理解はしていますから・・・あんまり舐めていると痛い目に遭うかも知れませんから・・・ね」
俺は敵対心を出してツナミに対して睨みつけたするとフーンと言ってなるほどねと言って今日のところはこの辺りにするけど次はもう少しだけ強くなったほうが良いかもしれないわよと言い残して立ち去った。
いなくなり気配も無くなってからようやく一息つけたのである。全く、いつ魅了をしてくるか分かったものではないからずっと緊張感が続いたから疲れたと体を伸ばした。
するとアーシャがそんなにツナミさんの事が嫌いなのですかと聞かれたので当たり前だろと返すとかなり意外と顔に書いているほどに表情に現れていた。
おい!俺は無類の女好きではないからな、あそこまでヤバいやつと付き合いたいやつなんかいるのかと思うぐらいだと俺の考えを伝えるとアーシャは信じられない言葉をしたのである。
「でも、テンガさんが宜しければ私は引き受けましたけど・・・結構、綺麗なサキュバスさんでしたね」
おいー!既にこちらは軽い魅了に掛かっているのですけどと俺はツッコミをすると近くにいたリーフおっさんが俺に対して説明するみたいに話してきた。
「テンガ、お前が落ち込む気持ちは理解出来るがこればっかりは仕方が無いことだ。先程のサキュバスは桁違いの魅了の持ち主であるからあれと対峙して魅了されずにいる者など我が知っている中では聖女の中の聖女しか我は知らない」
・・・うん?俺は少なくても魅了されていないですよと答えるとリーフおっさんは目を開いて本当にそう言っているのかと言われたのでそうだと答えた。
するとリーフおっさんがあのツナミの魅了がどれだけやばいか教えてくれた。まず普通が1だとして天才が3、そして創世神クラスが5で表すとあのツナミの魅了は6だと言うのだ。
かなりヤバくない、あの女と俺はここで改めてあのサキュバスは桁違いの存在だと理解してあることに気がついてしまった。
もしかして魔王様も魅了されている可能性がある?と思い始めた、あの女ならやりかねないと考え始めた。
その時に俺の能力も軽く教えてくれたのである。そして目立ってヤバいのが魔法の雷属性、6と聖女の力が6だったと言うのだ。
魔法は普通に嬉しいよ、一番努力していたからそこは良いけど聖女の力って何!?俺は男ですけど更に言えば天狗ですけど!!??
なんで聖女の力が6なの可笑しいでしょうと伝えるとリーフおっさんが少しばかり血液を貰っても構わないかと尋ねられた。
しかもそれがかなり真剣な顔をしていたからその気迫に押されながらまあ、構わないよと許可をして俺から軽く血液をとった。
そこまでして何を調べたいのであろうと思ったけど俺にそこまで影響を与えるものではないだろうから心配はないかと考えた。
それから数日後、俺の軍から離脱してツナミの配下になりたいと言って出て行った兵士はおよそ四千・・・俺って悪徳貴族かもしれないけどそこまで人望がないのと泣きそうになった。
しかもナオを除いた古参は全てツナミの元に向かってしまった。本当に魅了って怖いと思いながらこればかりはどうしようもないと諦めて見送る事にした。
残った兵力は千のみ・・・いや、あの魅了でここまで千人も残ったと言う方が正しいかも知れないなと感じていた。
ともかく俺の所から四千、元々の兵力が二万、合わさって二万四千の大軍になりエルフの国を攻略しようとしていた。
ここまでの大軍は相当な物であるからこれで負けるようであればかなりやばいけど元、俺の配下もいるから大丈夫だろうと心配しながらも俺は万が一に備え始めた。
そしてそれから数カ月後にツナミは歴史的な大敗をしてしまったのである。そこは普通に勝てるだろと内心でそう感じていた。
二万四千に加えて魅了で向こうの兵士たちも寝返りをさせて三万の大軍にまでなったのにわずか五千の敵兵に大敗するなど想像も出来ないししたくもないと思っていたが現実なので受け入れるしかなかった。
何であそこまで兵士が増えて敵兵が少なくなったのに負けるのかなと呆れていたけどそうしている場合ではなかった。
ツナミを破った敵将はその勢いのまま俺の領地、奪還しようと進軍してきたのである。
でもこれは想定していた事で準備をしていたので俺は迎撃戦を始めようとしていた。さて、敵将はかなり優秀で知恵者と聞いたので俺はあえてこの作戦で行く事にした。
なんせ、知恵者はかえって知に溺れやすい存在でもあるから。
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