第二章、エルフの国

第14話、いざエルフの国へ

俺は魔王様から無茶苦茶な命令を受けたけどその配下な以上は従うしかない、それにあの者に負け犬の姿をツナミ・ノマレールに見せたくはないから頑張ることにした。



早速、街に戻ると予めに準備をしていたので早めに出陣が可能になっていた。しかし、俺の手勢が300しかいない上にその手勢も全てが連れていける訳ではない。



街を守るためにも最低でも百は残したいから実際に連れていけるのは200程度しかおらずしかも輸送などの兵站で50ぐらいは使うから実際に戦闘に出来るのは僅か150のみしかいないのだ。



無茶苦茶としか言えないけど強いて言えば兵站はかなり隠しやすいとも言える。



兵站が無くなったらそれはすなわち敗北に繋がるのでそれを隠しやすいのは一つの利点だけどここまで兵力があると困ったものだなと感じた。



それと利点を上げるならエルフ国へ大軍で向かうなら必ずエルフたちの最大の要塞、イージス要塞を越える必要があるけどここまで少ないと間道からも侵入が可能なのでそれを無視できるのは大きい。



けれど150ぐらいが侵入したからってエルフの街を一つでも落とせるかと言うと難しいところだ。



なんせ、エルフは人間よりも遥かに強くその上に地の利もあり、森での戦いにおいては右に出る種族は存在しない。



だから俺は極力、戦うことをせずにエルフたちに勝つ必要がある。普通なら諦めるところだけどここで元盗賊エルフから面白い情報を手に入れていたのだ。



それは俺の隣国している領土を持っている貴族はかなりの圧政しており民たちからはかなり怨みを買っているのだ。しかしながら国から任命された貴族なので文句を言えずに従っているらしい。



魔族が攻めてきた時は魔族たちがエルフを皆殺しにする勢いで来たので仕方がなく従って戦っていたというのだ。



つまりは俺がもしエルフたちに対して心から大切に接していけば戦わずに勝てるかも知れないという可能性が出てきたのだ。



これはかなり重要なことであり、孫子の兵法書にも書かれているけど戦わずにして勝つのが最高の勝利だからこれはまさに運命が味方にしてくれと思うしかなかった。



神様は前世ではあのような最期を遂げたので哀れに思ってくれたのかもしれないと今回ばかりは感謝をしていた。



なのでうまく行けばエルフの国、全ての攻略は難しいかもしれないけど一部の領土を奪うことはできるかもしれないと考えた。



だから俺は諦めることはせずにエルフの国の攻略をする事にした。もちろんエルフなどに好意になってもらうためにいろいろと品物を持っていくことにした。



物など上げて好意を示すのは昔から変わりはしないからなと思いながら支度をして、それから2日後に支度を終えて俺たちは当初の目的通りに間道からエルフの国に入る事になった。



元盗賊エルフたちが道案内をしてくれたので敵に見つかることなくエルフの国に入る事に成功した。その上にここなら兵站として使えて隠れやすいと感じながらこの辺の地図を広げて作戦を考えた。



まずは近くの村などを向かいそこでエルフたちをうまく味方につけて兵力を増やしてこの地域を治める悪徳貴族のエルフを倒そう。



いくらエルフでも悪政をされていたら俺たちが助けてあげますからと言うと信じてくれると思うからな。



まあ、悪政と言うほどはするつもりはないから安心してくれ。でも労働時間は12時間な事には変わりはないけどな。



死ぬほどやばい悪政と死ぬ程ではないが大変な悪政しか選択肢にないとはこの地域のエルフも可愛そうだぜ。



まあ、俺がその選択肢の一つだけどな、ハッハッハッハッハッハ!!



そうしながら俺たちは元盗賊エルフたちが作り出した地図に従って進軍していると地図通りに村または小さな町が見えてきたのだ。



地図の通りにあったので少なくてもこの地図の信憑性は高くなりこれはかなり使えるなと考えながらその場所に向かってみたが何だか思っているよりも静かであり、何か起きたのかなと思いながら近づいてみた。



近づいてみるとそこには町の中で倒れているエルフの姿があり、元気のかけらもなさそうなのでこちらに攻撃はできないだろうと感じて武器を置いてから近づいて話しかけてみた。



「すみませんがいかが致しましたか?俺は旅の者ですけど明らかに普通ではないですよね、俺ができることがありましたら言ってください」



俺はエルフたちの好感度を上げる絶好の機会だと言うばかりに飛びついて話し掛けてみた。



すると倒れ込んでいるエルフが苦しそうな表情をしながら俺に対して説明をしてくれたのである。無論、エルフ語はまだまだ理解できない事もあるので元盗賊エルフに通訳をお願いさせて話を聞くのだった。



そしてそれによると今、この国では疫病が蔓延しているらしくエルフ以外は大したことではないけどエルフだと逆に重い病気らしく下手にすれば命を落とす可能性もある病だと言うのだ。



それなのにこの辺りの領主は搾取してこの場所には何も残らずに食い物がなくて体力も落ちて後は死を待つばかりだと言うのだ。



なるほどな、ここの領主は余程に馬鹿だと言うことが理解した上に俺は怒りを覚えた。



これから俺が奪い取り俺のものにする場所を病気如きに壊されてたまるものか、病気如きが俺に楯突くとはいい度胸をしているじゃないか。



俺は天狗で薬のことならこの世界でもかなり詳しい俺を敵に回したことを後悔させてやるからよ、病さんよ!!



俺は疫病が発生した時のために多くの薬を持ってきていたのだ。それとかなりの量を部下からは心配し過ぎなのではと言われてしまったほどに持ってきておいた。



それとここでも玄米は食べられてなさそうなので玄米を食べさせる事にした。



兵糧ならここに来る前に嫌になるほどにお米が実っている場所が多く収穫すれば数千の兵士を一年は持たせることができるほど実っているから大丈夫だったも言うより兵站が切られてもある程度は戦える事が理解した。



無論、兵站が切られることがないのが一番大切なことだけど最悪、切られてもある程度は持ちこたえられるだけだからと思いながらも薬を与えて玄米を食べられるようにさせていた。



するとここの長老らしい人が俺の前に現れて感謝を伝えに来たのである。そしてそなたたちは何者でしょうかと言われたので俺は正体を明かすことにした。もちろん、元盗賊エルフに通訳をまたお願いした。



「俺は魔王様に仕える、貴族の一人、テンガ・ヒノモトと申します。見た目通りに天狗でありますのでどうか宜しく。そして隣にいるのが相棒のナオだ、彼も見た目通りに天狗であり幼馴染の関係だ」



そう言ってから隣にいたナオは頭を下げて挨拶をした。無論、紙に書いて本当にナオは喋ることが無いからそこは理解しておいて欲しいと言ってから俺はエルフたちを助け出した後にどの様にするのか説明を始めるのだった。



これから起きる事に恐怖を覚えるが良い、それにしてもナオの表情が意味深みたいな顔をしているけどあれは何を考えているのだと疑問に思うのだった。



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