第10話、有望な貴族(他人視点)

我々はとても良い環境と呼べない場所に暮らしていた。雨が多すぎて小麦が育つことがなくいつも食糧に困っていた。



なのに前に治めていた領主は事もあろうか税金を多く取ろうとしたのだった。それを知った我々は必死になってその領主を追い出すことに成功した。



しかし、今度に来るのは男爵、つまりは貴族というわけだ。この前の領主よりも遥かに偉い立場の存在が来ると知った時はもう死ぬ覚悟で戦わないと行けないと覚悟を決めていた。



そんな事で待ち受けていたがその男爵の貴族は町に到着してから町を周って様子を確認して終えるとなにか作り始めたのである。



しかも美味しそうな匂いをしていたので気になってみているとそれはこの辺でよく採れる玄米だった。



あれは苦味が強すぎて食べれない筈だったのにそれを食べるつもりなのかと思いながら見ていたがそこからうまそうな匂いをしているから近づいて確認をしていた。



するとこちらの気配に向こうが気がついたのか来ても構いませんよと言われたので我々は素直に従って出てきた。



そこからは町の代表者と話をしたいと向こうの貴族が申し出てきた。我々は恐る恐るながらも貴族の前に現れた。



そうして貴族から飯を食べさせてくれるというのだ。我々は罠かと思いながらもお腹が空いていたので食べてみると普通に美味しかったので食べていた。



その時に貴族の男から話があると言われて近づいてから男から話が始まった。



「どうも、始めまして俺はテンガ・ヒノモトと申します。もう知っているかもしれませんが男爵でこの地を治めることになりましたのでどうか覚えておいてくださいね」



それを聞いてこの貴族と言うか青年は意外と貴族の割には強気ではなくてこちらと同じように話しかけてきて話しやすいと感じているとテンガ・ヒノモトが本題を話し始めたのである。



「そうだ、この地を治めるになったので俺なりの方針に変えることにした。反対することは許さないからな、手始めに労働時間を変える。今まではどのような時間だったのかはわからないしわかるつもりもない。朝、6時から夜、6時までを労働時間にする。休憩時間は昼の一時間のみである」



それを聞いて我々は信じられないと冷静に考え始めた。



そもそも我々は普段は朝、4時から働いて終わるのが夜の9時の為にこの労働時間を聞いて我々は夢でもそれか幻聴でないかと思いながら再度に尋ねても同じ答えが帰ってきたのであった。



我々は啞然としているとテンガ・ヒノモトは更に話を続けてきたのである。



「それからこの町は本当に寂れているのでそれを吹き飛ばすぐらいに栄える必要がある。まず、手始めにやる事は小麦以外の作物、玄米を食べてその美味しさを世間に伝えてこれを交易を扱える品にする。その後にはこの地にしかない特産品を作り、この地を交易で栄える地にさせる」



我々には到底理解ができないことを話し始めた。今まではどれだけこの町から税金を搾り取る事しか考えていない者たちだったのに今、目の前にいるテンガ・ヒノモトは違っていた。



この町の未来を考えて必死になって盛り上げようとしていたのだ。難しいことかもしれないけど頑張っていこうとしていた。



我々は初めであった、こうして下の身分の者たちのためにも必死になってくれる人は。だからこそ、この人なら変えてくれるかもしれない、今の町の状態を・・・いや、この秩序を変えてくれると思い始めた。



そうして我々は念のために貯めていた税金を渡そうとするとそのお金はお前たちで使うが良い、もしこの町が発展して豊かになった時に改めて貰うからと言って貰わずに立ち去ろうとした。



我々はあまりの感激に涙を流していた、先程まではかもしれないと考えていたが改めて理解をした。この人なら変えてくれると確信をしたのだった。



そうして涙を流している内にテンガ・ヒノモト様がその場から立ち去ったことに気がついて着いてきていた兵士の一人に尋ねるとこの地にある男爵邸に向かったと言うのだ。



実はあそこには遠くからやってきたエルフの盗賊たちが根城として住んでおり、我々も収穫の時に狙われてしまうことも多く、問題になっている。



前の領主はほかの豊かな街を拠点にしていたのでこの問題を伝えても何もしなかった。もしかしたらあのテンガ・ヒノモト様がなにかしてくれるかもしれないがそれでも危険だと思い、すぐに伝えたけど兵士たちはそれを聞いて笑って答えた。



「心配をしてくれるのはありがたいがそれは余計な心配だと伝えておこう。その理由はうちの大将は戦場で桁違いの戦果を上げて出世を果たした人物でエルフの盗賊ごときに遅れを取る人ではないから安心してくれ」



兵士たちはあるでテンガ・ヒノモト様に対して絶対と言えるほどの信頼をおいてあるように見えていた。きっとこの者たちは我々よりも間近でテンガ・ヒノモト様を見てきたのだろうからそうであるがそれでも心配になって我々は廃墟に近い男爵邸に向った。



すると物音がいつもよりも激しいことに気がついて心配して入ってみるとそこには我々の目を疑う光景が広がっていた。



テンガ・ヒノモト様が掃除をしていると思うとこれをやれと体で伝えるとこの場所で根城としていたエルフたちが静かに命令に従って動き出したのである。



これはと我々が驚いているとテンガ・ヒノモト様がどうしたと言われたので我々はこの地にいた盗賊のエルフの存在を伝えようと必死になって来ましたと伝えた。



するとそうだったのか、でも伝えに来てくれてありがとなと言うだけで何も言わずに男爵邸の掃除を盗賊のエルフ達と共に行い始めるのだった。



我々も手伝いますかと言うとお前たちは明日から頑張ってもらう必要があるから休むが良いと言われて帰るように言われた。



テンガ・ヒノモト様は住む場所も確保されていないのに我々のことを思うなんて我々はなんと言うほどに運が良いのだろうと思いながら明日からはテンガ・ヒノモト様のために頑張ろうとが思うのだった。

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