第5話、無能な指揮官のおかげで出世の機会が到来!

俺たちはそれから戦場で功績を上げて見事に魔王軍の中でも存在感が出てくる部隊になっていた。



始まりは周りからはすぐにボロが出ると言われていたけどそんな事もなく功績を上げて今では男爵の昇格もあり得るのではと言われている。



お陰様で同僚の騎士クラスに軽い見下しができるようになったので最高だった。やはり、力が全てだよなと感じながらも俺たちはとうとう大きな戦いに呼ばれたのである。



しかも指揮官は魔王軍四天王の一人で土の怪人であり、モドール伯爵家の当主、ツチニ・モドールであるけど名前から不安なんですけど。



何がツチニ・モドールだよ、土に帰ったらまずいじゃんと思いながら進軍していた。他にも子爵や男爵などの貴族も参戦しており軍勢は一万以上であった。



対して相手は智将で有名なカクト・ブンダと言う人間が2万の大軍で待ち受けていた。知力に長けており作戦で魔王軍を打ち破っており油断できない相手なのにこの四天王のツチニ・モドールはとんでもないことを言い出したのである。



正面から人間共を皆殺して砦を落とすぞと言い出したのである。いやいや、敵は知力に長けているのにそう簡単に行きませんからと言いたかったけどここは死んでしまうかもしれないから嫌だけど下の身分らしく頭を下げてお願いをしたのだった。



「ツチニ・モドール様にお伝えしたい事があります。発言をしてもよろしいでしょうか」



すると構わないと言われたので俺は失礼ないように言葉を出し始めた。



「ありがとうございます、では始めます。実はこの先に危険だと思われる地形があります、部下に偵察されて地形を書いてもらいましたがこの先に森がありますがそれを超えると谷があります。目的の砦に向かうにはここの谷間を超えるのが最短ルートですけどそれだけにこの辺りで待ち伏せをされる可能性が高いと考えられます」



それを聞いてツチニ・モドールはなるほどなるほどなと言って一応は聞いてくれていたので続けて話した。



「その上に撤退する時にこの森に逃げるしかありませんが敵に火でもつけられたらたちまち軍は崩壊してしまいます。そこから上手く逃げ延びた者たちではあの大軍に勝つことは不可能だと思っています」



するとツチニ・モドールはならお主ならどの様は作戦を取るつもりだと言われたのであんまり言いたくはないけど伝える事にした。



「はい、私ならまず部隊を二つに分けて谷間の上から待ち構えているだろう伏兵部隊を撃破した後に一部隊は谷間の入り口で敵を食い止めて残りの一部隊で砦を攻めます。作戦で砦に残っている兵は少ないと考えております」



そう伝えるとそれでは遠回りになって時間がかかってしまうからと俺の提案は却下されたのであった。



それを聞いた時に手柄を奪われなくて済んだ安堵にこのままだとこの戦いに負けてしまうと思いが出てきて複雑であった。



でも一緒に行動をしていたら確実に巻き込ま割れてしまうので俺は途中まで一緒に行動することにした。



それから数日、敵は戦っては後退してどんどんと敵は自分たちが有利な地形に誘い込んていた。その事に残念ながらツチニ・モドールは気がつけていなかったのである。



そして部下たちに明日から別働隊として行動を始めると伝えた。けれどもこれは俺の独断の判断であり功績にならないかもしれないと伝えた。



俺は反対する者、離脱する者が現れると思っていたがどうやら俺を信じてくれるみたいで誰一人、離脱することなく俺の部下、百名共に迂回して砦に向かい始めた。



すると俺の予想通りに谷間で伏兵が現れたのか遠くから悲鳴に近い声が聞こえた。その後から森のほうが燃え始めて遠くからでも黒い煙が立ち込めて空まで届いていた。



部下たちから隊長と心配そうな声が言われたがそれは分かりきっていたことだから気にするなと言って進軍した。やばいやばい、成果を上げないと確実に魔王様に殺されるやつだから敵大将ぐらいは討ち取らないと帰れなくなったと内心では保身のことばかり考えて慌てていた。



そうして俺たちは敵の警戒網など殆どなく砦まで辿り着いた。やはり、この砦には殆ど兵が残っていなかった。しかも勝利の報告を受けたのか宴でもした跡が残っており強襲するなら今しかないと感じて俺は部下たちに号令を出した。



「狙うは敵、大将のカクト・ブンダの首、ただ一つ!!突撃せよ!!!」



俺は突撃命令を下して門を開けてから酔っ払いしている者たちを斬り殺して敵大将の首と取ろうとした時にナオが俺に対して紙で伝えてきた。



テンガが最初に斬り殺したその男がカクト・ブンダだよと書かれてあった。



・・・マジで!?あまりにも呆気ない最期過ぎませんか。殺した俺が言うのも何だけどと思っていたけど敵の指揮官を討ち取ったことには変わりはなかったので高らかに発言をした。



「敵大将、カクト・ブンダ、討ち取ったりーー!!」



その後は部下たちが残りを討ち取り、砦は一応、奪い取る事に成功した。まあ、維持するための兵力がないから放棄するしかないけどと思っていたら部下の兵士からとんでもない情報を手にしたのだった。



本隊がまさかの全滅状態だと言うのだ、あのネタみたいな名前をしていたツチニ・モドールもそれ以外の貴族たちもそして兵士たちも全滅したと言うのだ。



全然、やばい状況が続いているだけど敵大将を討ち取ったはずなのに未だに不利ってあり得ることなのとこの状況を否定したかった。



と言うかこのまま無事に帰っても逃亡罪で殺されてしまうやつだと俺は感じ取り運命を諦めそうになったけど次の保証がないので死ぬ気で頑張って打開するしかないと気持ちを切り替えた。



こちらの状況にこちらの本隊を殲滅した部隊には情報が届いていないはず、ならばこの砦を精々利用する事にした。



守りきれないならばこの砦を爆弾とか多く設置して向かい入れて一人でも多く打ち倒そう。でもしないと前世みたいに国から死刑宣告はされたくはないからねーと心の中でそう叫んで実行に移すのだった。



それにこれが上手く行けば手柄になるかもしれないので部下たちには次の作戦までしっかりと休むようにとこちらの手伝いをされないようにしていた。



理由は簡単だ、この作戦の手柄を独り占めにする為にな。ハッハッハッハッハッハ、安心してくれ、お前たちの分の作戦を残しておいてやるから安心して休んでくれや、大きな手柄は俺の独り占めにするつもりだけどな。



後で後悔しても遅い、精々英気を養っていな・・・ハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!

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