第10話「想い伝えるとき」
学園祭が終わってしばらく経っていた。杉野さんは文化祭後、自分のことを友人以上の目で見てくれるようになった。楽屋の抱擁がきっかけだったのかもしれない、とポツリとうれしく思う。
ある日、杉野さんからランチの誘いが来た。喫茶店で二人きりできるチャンスを逃すまいと息を弾ませる。店に着くと、杉野さんはテラス席を取って待っていてくれた。ゆっくりおしゃべりしながらのんびりと過ごす。
お開きになる際、ふと指が触れ合った。小さな出来事だが、二人の距離感が急接近したことを実感する。杉野さんの瞳を覗き込むと、優しさとは違う色を帯びているのに気付く。
「ずっと言いたかったことがある」と杉野さんが切り出した。カフェの外では陽射しが輝いている。「私、夏目くんのことが好きなの」。その一言で、胸の鼓動が高鳴ったのだった。
放課後のラブソング @ichiyanagi1986
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