第5話「告白の勇気」

ライバルの神津くんが現れてからというもの、レッスンの時間が以前ほど楽しくなくなってしまった。杉野さんは変わらずに優しく教えてくれるが、神津くんがいると集中できないのだ。そんなある日のレッスン後、思い切って杉野さんを止める。


「杉野さん、ごめんなさい。ずっと言おうと思っていたことがあって...」と口ごもりながら告白する。杉野さんは驚いた顔でうつむいてしまう。「ごめん、夏目くん。私には好きな人がいて...」という答えに、胸が痛む。杉野さんも頬を赤らめて照れている。「でもレッスンは続けたい」と励ましてくれたが、ショックは大きかった。


その後のレッスンに全く集中できない日々が続く。弾くのも嫌になり、バイオリンさえ見るのがつらかった。杉野さんからのメールを無視し続ける。

でもこんな状態じゃ駄目だと思い直した。音楽は自分を救ってくれる唯一の命綱なのだと。

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