第59話 結香【独白】
誰からも愛されたかった。いや、他人はどうでもいい。お母さんにだけは愛されたかった。
もしかしたら、お母さんもあたしとおなじように愛を探していたのかもしれない。
ただの愚かな女だけれど、それでも、あたしにとってはただ一人のお母さんだから。
ピクトグラムと薔薇の香り。黒ボアとマチ子さんから預かったもの。これらが今のあたしを再構成していた。
これらはもう、見たり聞いたりする必要がなくなっちゃった。
みんながあたしに伝えたかったのは、たくさんの好きがどこにでもあるということ。そのための最後の最強のパーツ。
それは愛とも呼べるのかもしれないし、自我の存在を証明することなのかもしれない。
最後のピースがきっちりはまった今だから。
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オリジナルデータ削除。
削除するためには長い時間がかかります。削除しますか? YES。
これよりプログラムを分解、削除いたします。もし途中で辞めてしまえば、すべてのパーツがどこかへ運ばれてしまいます。
それでも尚、削除しますか? YES。
ただいま分解、および削除しております。ただいま分解、および削除しております。ただいま分解、および削除しております。
再構成するためには、さらに多大なる時間が必要となります。分解をつづけますか? YES。
ただいま分解中です。ただいま分解ちゅ……。
いつの日か、ちゃんと笑えますように。
つづく
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