第8話 ずっと入ってみたかった店
紀伊國屋書店新宿本店の地下にスパゲティのお店があるのは、それこそ初めて行った時くらいから知っているのですが、入ったことはありませんでした。憧れというか、眩しいような店で、いつも見るだけでした。
今回、帰りの電車の中で食べるお弁当を、同じ地下にあるとんかつ屋さんで買おうとしたのですが閉店していて、さてどうしようとなった時、スパゲティ屋さんを見てみるとお客さんが一人しかいない。これはいいぞと食券を買って、入ってみる。いきなりセットの飲み物を何にするか聞かれて驚きつつ、食券を渡して待機。かなりドキドキしていましたが、無事にスパゲティを食べることができました。
ほとんど外食をしない家庭に育ったので、そもそもからして「行きたいお店」みたいなものがほとんどなくて、行きたい、より先に、行けない、が来るような精神構造なんですが、この紀伊國屋の地下のスパゲティ屋さんは数少ない「行きたいお店」でした。今回、ここで食事ができて大満足でした。言ってみれば、やりたいことリストが一つ達成されたという感じです。
昼間に入谷で飛び込んだ食堂では夫婦で経営しているようで、ものすごく硬派というか、強強な感じでしたが、スパゲティ屋さんは驚くべきソフト対応。どちらも好きではあるけれど、こういうところも東京の面白いところだと感じます。同じ飲食業のはずなのに、接客の姿勢というか、思想そのものが正反対です。もちろん完璧で無謬な接客なんてなくて、懇切丁寧なのが好きな人もいれば、構って欲しくない人もいるんだろうな、とは思うけど、ここまで違うと、ちょっと面食らう。変な表現ですが、常識ってないんだな、と感じましたね。
何はともあれ、スパゲティは美味しかった。また利用したい。今度は麺1.5倍で食おう。カルボナーラを。飲み物はアセロラソーダだ。隣に座った人がそんな注文をしていて、羨ましかった。僕は昔ながらのナポリタンにコーラでした。コーラはちょっと、違ったかもな……。
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