第3話 入谷は現代と近代のハイブリットみたいだった

 入谷には秋葉原から地下鉄日比谷線で移動したのですが、入谷に着いてから、さて、どこの出口から地上へ出ればいいのか、わからない。かなり迷って出たものの、すぐにそれが方向違いとわかり、スマホの地図アプリを頼りに無事、目的地に着きました。

 入谷のことは鬼子母神がある場所ということで知っていましたが、鬼子母神に行ったことはないし、どういう場所かは知らなかった。で、ふらふらと歩いていると、なんというか、少し昔の街、みたいな雰囲気に見えた。でも、建っている建物は都会そのもので、まったくの昔ではない。何が昔っぽさを印象付けるかといえば、ところどころにある時間から取り残されてしまったような店、でしょうか。

 実は何度も東京に行ったことがあるのですが、ちゃんとしたお店で食事をしたことがありませんでした。うーん、ただの吝嗇なんですが、それが今回、初めて食堂に入ることになりました。行きの道で見つけた食堂で、もう名前も忘れてしまいましたが、帰り道で思い切って入ることにしました。ご飯、味噌汁、チキンカツ、コロッケ、かぼちゃの煮物の小鉢と冷奴の小鉢、たくわんという並びで、値段は六百七十円。これは非常に良かった。「孤独のグルメ」でちょくちょく出てくる、「使い方の分からないからし」もちゃんとありました。そのからしは無事に使いました。

 こういう店が普通にある辺りに、都会の洗練とは少し違うものがあって、独特のラインが残っているのでは。それにしてもあの食堂は何年前からあるのだろう。僕はまた行きたいくらい好きな店でした。

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