「定期診断は以上です。特に異常はありませんね」

「…………」

退屈な定期検査を受け終わり、担当の先生と向かい合う。

「リハビリも兼ねて元気に歩き回ってくれるのは結構ですけど、診断の時間は守ってくださいよ」

「先生」

どこかやつれた先生に俺は一つ質問を投げかける。

「俺たちはいつになったらここから出られるんですか」

「……」

 急な質問に少し戸惑ったが、それでも先生はすぐに答え始めた。

「………ごめんなさい。それは、まだ分かりません。

私たちも早く退院させてあげられる様に努力しています。それだけはわかってください」

 まあ予想通りだ。

いくら既に能力を失っているとはいえ、人とは違う超能力者バケモノ

そんなものが一般社会に解き放たれることの恐怖は、想像に容易い。

「そうですか、なら、今の外の様子はどうなっているんですか」

「…すみません。それも言えないです」

これまた予想通り。

戦いは元凶である奴ら……宇宙人との和解で終結したと聞いている。

なれば、世界の混乱はあって然るべきだ。

もっとも、その混乱はこの病院にまでは届いていないが。

「何も言えずにごめんなさい。

でも、あなたが外の事に興味を持ってくれたのは嬉しいです」

「?」

「悲しいですが、この病院には未来を諦めている人が大勢います。

でも私はあたたたちをきっと元の生活に戻して見せますよ」

そう力強く語った先生の姿は妙に印象に残っていた。

 未来、か。

確かにらしくなかったかもしれない。

検査の帰りに一人考える。

それは、いったいどんなものなのだろうか。

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