それは夏の一歩手前、梅雨が去って妙に乾いた一日だった。

“それ”は突然やって来た。

“それ”は放浪者だった。

“それ”は訪問者だった。

“それ”は侵略者だった。

“それ”に触れた大人は皆死んだ。

“それ”に触れた子供は様々な能力ちからを手に入れた。

 後に見た医者共は人間の進化だのぬかしていたが、

 あれは超能力だ。

空想の産物でしかなかった力。

誰もが一度は憧れる力。

手を触れずともモノを動かし、燃料も無しに炎を起こし、未来すらも見通す、万能の力。

 その能力を使って俺たちは戦った。

生きるために、戦った。

 そして、戦いは終結した。

あまりにも、あっけなく。

俺たちの知らないところで。

血を流すこともなく。

終わっていたのだ。

 その後、俺たちはこの病院に集められた。

哀れな事件の被害者として。

新たな人間のサンプルとして。


人とは違うバケモノとして。


 この病院おり入院なんきんされている。


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