第14話 前回の世界の屋敷

 次に確認に来たのは、俺が前回の世界で貴族として過ごしていた屋敷だ。正直、これは未知数だった。ブライズさんが住んでいるとも考えられるが、それだと前回の世界でブライズさんが住んでた場所はどうなるのかという話になる。もし、本当にブライズさんが住んでいたら、前回の世界でブライズさんが過ごしていた場所を知らないため、確認できず面倒だなと、思っていたが、その不安は杞憂だった。


 俺が前回の世界で貴族として過ごしていた屋敷は跡形もなく消えていた。跡地にも何もない。そこは、ただの森だった。


 なるほど、俺の住む家は、身分に応じて何もない土地に建てられる仕組みらしい。一応、今のチンピラである俺にも家があって、俺はそこに住んでいるという確信が不思議と存在するが、その家が建っている場所も本来は、このように何もないのだろう。


 また一つ、この能力について、知ることができた。


 辺りが暗くなってきた頃、俺はラッディに適当な理由をつけて別れた。


 パーティーが行われる屋敷の、夜のセキュリティを確認しておきたかったためだ。ラッディを連れていくと、また止められて面倒だし、それにあいつは何だか隠密に向かない気がする。


 屋敷の周辺に辿り着くなり、息を殺しながら、屋敷の玄関の門の方へと近づいていった。この世界にセンサーや監視カメラのようなものは存在しないかを確かめるためだ。


 警備は、昼間よりも数が減っていて、二人。


 何とか気づかれないように、玄関の門の近くまで来て、その周辺を観察した。


 一通り、観察し終えたが、監視カメラやセンサーのようなものは存在しなさそうだ。つまり、あの衛兵二人をなんとかすれば侵入できるということ。


 侵入するなら人目にもつかず、衛兵の数が少ない夜中が良いだろう。


 パーティー当日だと、警備が強化されている可能性もあるし、何より、手遅れの状況になっていたら最悪だ。


 明日の夜、ラッディに力を借りて、侵入しようと計画を立てて、その場を後にした。

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