第5話 パーティーの始まり

 屋敷の中に入ると、目の前にある扉へと案内された。その扉を開いた先がパーティー会場であった。


 豪華絢爛。この世界の贅を尽くしたような装飾がなされた異様に広い空間があった。


 しかし、もっと驚くべきは別にあった。その広さに反して、思いのほか人が少ないのだ。


 まだ、来ていないだけかとも思ったが、もうすぐに開始時間となる。


 ちなみに、俺たちがこんなギリギリの時間になったのは、俺が緊張で腹を壊していたからだ。ダンスとかあったらどうしようかと不安になったのだ。とりあえず、間に合って良かったが。


 時間になった。やはり、参加者は俺たちが最後のようだ。


 人数は、二十人ほど。マルズのような従者を考えれば、有力者はその半分と言ったところだろうか。


 ここで、今さらながらな疑問が浮かぶ。そもそも、今日のパーティーは何を目的としたものなのだろうか?


 懇親会か?だとしたら、この人選はどのように決められたのだろう。正直な話、自分の地位がいまいちよく分っていないため、人選に見当もつかない。


 本当に今さらだが、マルズに聞いてみようかと、思ったところで、前の方から声がした。


「本日はお集まりいただきありがとうございます。知っている方も多いかもしれませんが、私がこのパーティーの主催である、イディニア・イルカルテです。短い時間ですが、皆様の親交を深めるのに役立てればと思い、企画させていただきました。では、これ以上皆様の大切なお時間を取るわけにもいかないので、早速ご自由にご歓談いただければと思います。」


 そう言うと、金髪の身なりの良いイケメンが爽やかに礼をして、舞台を降りた。


 なるほど、一応目的は懇親会ということであっていたようだ。とはいえ、あまり自分から他の人と関わりたくはない。疑われるのを避けたいのはもちろんの事なのだが、単純に知らない人と話すのは緊張する、しかも、どいつもこいつも威厳に溢れてる。正直、もう帰ってしまいたかった。


 それでも、流石にパーティーが始まってすぐに帰るのは悪いし、何より、そんな事をすれば、今後の俺の貴族としての立場が悪くなるだろう。とりあえず、当初の予定通り当たり障り無くだと思い、テーブルに置かれている食事を取りに行った。

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