【精神科入院生活 38日目「院内ストーカー」 】
「袖振り合うも多少の縁」だが『多少』でしか無い。
人は袖が擦れると、いさかいが起こる。
結果、仲良くなっても、生れた環境、育ちの違い。些細な事でも目や鼻に付き、いさかいが起こり人間関係が破綻する。
ヘアーバンドをしたその60歳位の女性がそう。
老婆の集団から離れた。勿論何があったかは知らない。
この2階病棟で3番目に若いフミも初めは何故かここに居た。
年齢差以上の不釣り合いにしか見えなく、傍から見ていても、何か人としての「味」みたいな物が違った。
凸と凹でワンセット。
同じ群れをなす仲間は、案外同じ形をした凸同士や凹同士で固まる。
フミは柔らかくても少し硬さがあり、『歯ごたえのあるパン』
そんなカチカチの干からびたフランスパンの老婆達とは合う訳が無い。
が、凸同士でも凹同士でも、いわば「△同士」みたいな物。
まして、この生活での烏合の衆の関係。
擦れれば破綻をするし、袖で摩擦するなら凸でも△でも刺さる時は刺さる。
きっと、それで彼女は老婆の群れから離れたのだろう。
もう1人。
見るからに太った知的中年女性。
人を睨みつけてしか見ることが出来ない。
すぐに感情的になり、この人も結構面倒くさい人だった。
この人と関わりを持つ事は損でしかなかった。
言っている簡単な事が理解出来ず、 まともな判断に欠け過ぎている。
マッチ売りの少女の話を聞いた事があるが、マッチポンプ売りの中年。
気に食わないと大声で騒ぎ、自分の怒りを鎮められないから、その火消しを「もっと大声を出して隔離病棟に行くよ」と、火を火で消すファイヤー←調べる で、誰かになだめて貰う火の不始末を任せるというやり方。
看護師への心付けは禁止されている。
実は、この生活でだぁ君に何を血迷ったのか70代のおばあちゃんが「あんたの事が好きねんて」と箱菓子を朝食後、患者が行き交う廊下で差し出す始末。
「おいおい、18の高校出たての男の子相手に、孫以上歳が離れているこの老婆何考えてるんだ?」
勿論、だぁ君も断るのだが、この老婆軍団執拗い。
諦めが悪いのではなく、諦めない。
断っても断っても、トイレと風呂と彼の相部屋以外四六時中「押しの一手」だけで、膝丈の「かあき色」の勝負スカートで付きまとう。
「やっとで断れた」と、だぁくんがほっとしている束の間。
「ちょっと話があるんだけれど」
「何とかさんのそのおばあさんが、呼んでるよ」
と、「パシリ役」として、使われていた。
良いように。
だぁ君の退院の話は、彼の口からは出ていない。まだ先のようだ。
だから、終わらない。
「部屋に入れば?」って、彼だって自分のペースでの生活がある。
仲の良い⚫⚫さんと話したいし、その⚫⚫さんと食事もしたいだろうし、部屋に戻りベットの上でこれから毎日ずっとボーっとはしていられない。
不可能である。
どれだけ断っても断ってもゾンビより手強く、向こうも完全に学習をしている。
「打倒の⚫⚫さんにも相談はしてるんだけれど…」と、何か特に大きな問題になってる訳でも無いため「スルー」。看護師たちも見かねている。
あんなに堂々と廊下で心付けのようなプレゼント。
ナースステーションから、食堂フロアの我々を見ている。
看護師達も認知はしているのだが、人を殴ったり、物を壊したり、脅したりしている社会的な問題な訳では無い。
このフロアの問題にはなっているものの「どう対処すれば良いか」「日常生活での当事者間の事」との認識の範疇から出ていなく、手を煩わせていた。
その、四六時中、振っても振っても湧いてくるゾンビ老婆集団の魔の手から、だぁくんは完落ちしてしまった。
心の隙に付け込まれたのだろう。
その「かあき色」スカートの色摩と、時折2人でいるのを見かけるようになる。
これから段々のその時間を廊下や食堂室内でも見受けるようになっていった。
「見たくない。」
そんな数と執拗く時間と人数で押しかけて落とすやり方は、人として最低だし、年の離れた友人として可愛がっていたそれに落ちるだぁくんにも失望をした。
サキに続き、段々、私も彼から気持ちも離れ、遠目から彼を見るようになって行った。
誰が、張飛でも関羽でも劉備玄徳ても、梅林で誓った盃の儀式でも無い←調べる
隔離部屋から一緒で、私が勝手にそう思っているだけにしか過ぎない。
サキは、この間からオバさん化した中年女性の輪の中に入っていた
この生活で一番最初にできた、一番最小単位の基礎となる三人のトライアングルが完全に崩れたー。
3人で食を囲む事が無くなった。
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