■33日目 「NGTに行け!」ユー、あなたは「何をして」ここへ?■
「ちょっと貸して!私が空ける!」
それから、彼女たち3人に囲まれて毎日3食一緒に食べる。
ツマラナイ話に花を咲かせ、ほぼ四六時中飽きること尽きる事も無くこの2階食堂フロアでずっとだべる。
歳も世代も離れている。
が、目線の高さは殆ど同じ。
3人とも素晴らしい。
僕からその目線まで「降りる」必要も無く、自然にー。
「殆ど」と言うのは、普通に話をしていて何もケチをつける事も非を付ける所も何も無い。
何も無いが、病院と言えども公共の場。
オトナなら「この女の子達と仲良くなれてしめたもの」。
この関係を持続させる為なら、若者ぶって、ツマラナイ事に目をつぶるグレーなオトナであれば尚良い。
それって、一緒に仲間内でバカ騒ぎをするパリピ程度のさもしい関係。
歳の離れたボクがこの若い子たちへ何か下心がある。
隣のテーブルには、パリピにもなれずクラブで遊んでも来ていない30~40代のオバサン達。
早くから老け込み彼女たちが作ったムラで低音の声で年甲斐もなくホントのフツーアホがするツマラナイ騒ぎを好きで興じている。
こんなオバサン達みたいに、机に「出しっぱなし」とか「使いっぱなし」とか。
そういう事は「いけない事だよ」。
『人』として耳の痛いことは伝えた。
それ以外、非のつけ所が何もない。
何故ならクダラナイ普通のオバサン達には「そうなんですね。凄いですね。」ちゃんとオトナに敬語を使い、余所行きの言葉と態度と対応。分別が付いている。
僕にはタメ口。敬語なんて使わない。
内と外。
本当に物事が分かっているのはどっちだ?
なら、僕が相容れる、相容れない人やムラは?
ともあれ、かなり変わった共同生活。
ボクとの4人で一緒に過ごすことになる。
生まれつき不器用なボクは冷奴代の豆腐のビニールを上手く剥がせない。
「今日もこの時間が来たよー。ドキドキするよー。ちゃんと空けれるかなー」と、ボクも良い歳をしてワザと良い感じなアホになる。
なぜなら、この子達3人とも本当に素晴らしいから。
ツマラナイ事を面白くないのにさも面白く言う大人の前では絶対にボケたりしない。ケガをするから。寒いから。
そのツマラナイチャンネルに合わせたりもしない、
それなら、いっそ真面目にいた方がマシだ。
怪我と寒いのは避けないと大事な芽は潰される。
斜め前に座っている長女のフミがいつもそう言いながら、開けてくれる。
目の前に座っているユーが「⚫ね」「⚫す」と僕にキツイツッコミといより、フミとセットで合いの手を入れてくれる。
蓮は、モグモグ食べている。僕の隣で納豆や冷奴を一緒に食べているだけあって、食いっぷりが良い。
ボクは悪いオトナにハメられてここに入院をしてるのだけれど、蓮はここの常連。ちょくちょく入院をしている。
何回目だったっけ?20代後半の推しの男性看護師さんがいたとか。
以前退院した後にSNSで彼を見つけたとの事だが、その人はもういないと。
1人だけ他の看護師と一線を画すような人だったと。
フミはこの間の夜中の救急車の張本人。
オーバードーズ。
それで運ばれたと。
「ダメだよ。薬なんかに依存したら。」
⬇長すぎ
この生活で1日3食全く必要のない薬を飲まされ、不意にフロアに現れた主治医にきずかずに、誰着忘れて行った大好きなPerfumeのセカンドツアーのDVD。それを見てリズムを取っていただけで「落ち着きがない」と難癖を付けて薬を処方してくる。勿論拒否。
「分かりました。なら飲まなくてもいいですが、頓服にしますね」と、必要がないのに訳の分からない処方をしてくる。
コロナで経営が打撃を受けたので、その採算の辻褄を合わせたいがために出しているのは見え見えで、医療でもなんでもない。
単なる経営。理事長は病院の社長。立派な経営者。
看護師やワーカー、外来事務等全てを合わせて何百人いるんだろう?300~500人だろうから?毎月奥の売上を出さないといけないから、着実に着実に事ある毎に薬を出すことで売上を加算していく
「今時出せれる薬の数は決まっているんだ
」といいそうだが、限界の中までギリギリ出して、「地道にやっている」ということが。コロナの中でも商魂たくましい
「飲んでたまるか。廃人になってたまるか。真面目に薬を飲んではいじんが
目の前にいるのに。」
↑短く
「飲むと落ち着くんだ」
フミはこう返す
「人間は自然の1部だし、工場で生まれた訳では無いから…」
「ケミカルな物が好きなんだよ」
色んな経験や薬を長年飲んできたから。今も。だからこそ言っているのだけれど、少しムッとさせてしまった。
彼女は2回目の入院。
■■↑ここで彼ら彼女たちの入院経験や回数を書く。サチも対比させる。↓■■
蓮には悪いんだけれど、ちょくちょくここに入院経験がある蓮は常連さん。
以前の入院中の話。
電池を飲んでしまったらしい。
「田上さんに、電池を飲んだと言って、病院に連れて行って貰った。そこで胃の洗浄をして…」
夜遅い時間に。
それ以上は聞かなかった。
朝早くにその看護師と一緒に帰ってきたのか。向こうの病院でも少し入院をしたのか。夜遅くにタクシーで行ったのか。救急車を病院に呼んで病院に向かったのか。
それを聞かされた田上さんはどう思ったのか。夜勤の時間帯ならスタッフは少ない。上司に報告をして上司に判断を委ねたのか。
この子も面白いし、独創的な発想でプレデター的なロボットの俺の似てる似顔絵を書く子。
天才なのだが、危なっかしい。
その電池を飲んだ話も。
半分はワーッとなって。もう半分は意図的に。そう感じずにはいられなかった。
この子達が来る少し前。
日に日に入院病棟もクーラーを使っていても梅雨で段々蒸し暑くなって来ていた。
見ていて、蓮は頭に血がのぼり過ぎ「ワー」ッとなってフラフラ良くどこかに行ってしまっていた。
だから、彼女は塗薬をナースステーションに行って返さないといけなかった。
「まっつん。ミームって知ってる?ミームはAとBが同じ環境で生まれても育つ環境が違うとAとBは全く違うCになる事をミームって言うんだよ。」
消灯後でもまだ深くない6月のある夜。9時過ぎに、フラフラしながらも彼女はそう言って「私ちょっと…」と言って、廊下を歩きに行っていた。
前後、何の話の脈絡もなく、何か天才の片鱗が思わず零れ落ちた瞬間だった。
ちょっとしたインパクトだった。
その後「この間のミームなんだけど…。」と聞いたことはないけど、かと言って何故かそれを改めて聞けなかった。
それなりの衝撃だった。
そして、血が上りすぎ「部屋に戻るね」と言って部屋に戻ったり、戻らず廊下を歩いたり。
正気でいる為とは大げさだけれど、蓮は蓮で、蓮も毎日ちゃんと頑張っていた。
ユーに1番初めに言ったコト
「NGTに行け」
色白で顔が小さく、八頭身美人。
身長も割と高い。スマホのやりすぎがたまに傷。目が細い。
頬はまだ紅くあどけなさも残っている。
「ユー、おは…」
「よう」を言う暇をボクに与えず、彼女の僕への「おはよう」の挨拶の第一声はいつも文字通り、挨拶代わりに「⚫ね」「⚫す」。そして、中指。
色白の細い指を歩きながら突き立ててくれる。
勿論、僕は毎朝爆笑。
起きたそばから文字通りお腹を抱えて笑う。寝起きから毎朝お腹が痛い。
朝不意に現れては、ボクへの日課のその挨拶を済ませて茶目っ気たっぷりにそそくさにしてやったりと向こうに行く。
そんな有難い彼女だが、このコミュニティグループに限らず、このフロアの最年少。1番若い。そして可愛い。
そんな子が今ボクの目の前でご飯を食べている。
この子に「ちょっと、ジュース買ってきて」とか顎で使われるのだろうか?
などと、頭の中にまだおこもしてない事に年甲斐もなくヤキモキする。
目の前にいるのに。
「どう話しかければ良いのか?」
構えていても仕方がないから思った事をストレートに。
彼女にかけたユーへの第一声←←■ここを軸に 今までの書き直しか?■
「NGTに行け」
本当にメンバーにいてもおかしくない。
何年前だったか。
たまたま見たお昼の番組。
そこに出ていたこのアイドルグループのメンバー。雪国のその県の特集だった。そのご当地アイドルのその県出身メンバーの子が出ていた。
日本海の雪国だからか色白。
この県の何とか村出身。
髪は長く結んでTVに出ていたそのアイドルメンバーの一員を思い出した。
だから、ユーにストレートに伝えた。
僕なりの彼女への賛辞というか。
「嫌」
スコンと瞬時に打ち返された。
「じゃあSKE」
「嫌」
大所帯アイドルグループでも、坂道シリーズに世は移行しているけれど、それ以上はどのアイドルに入りたいか?とは聞かなかった。
聞かなかったが、「じゃあ何処に入りたい?」と、アイドル以外も含め聞いた。
「オウム真理教に入りたい」
「…w」
間髪入れず。躊躇わず。一瞬、言葉に詰まった。
が、即座に「よく知っているね。産まれる前の古いニュースを。」
彼女は昭和でも平成の初期でも平成中盤でもない。
2000年代生まれ。
ネットで見たのか?テレビニュースで見たのか?
その一言で、アイドルになれる顔とは裏腹に彼女の破壊願望とその衝動性と将来性をも感じた。
「コイツやるな。」
だからこそ、逆に彼女に『見所』と計り知れぬ『魅力』を強く凄く感じた。
(※敢えて 今入れる。巻末に本当は入れる。だが、「ウチの近所に道場があるのよ」本当に行きそうだから敢えて教えなかった)
そんな3人と暫くは続くんだが、それからの入院生活中、毎日食事を共にするはずだった。◀︎シンプルに毎日食を囲む事になった にする?
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