■26日目「新聞で見た級友~ディスったチョコとボクにツマラナイ事をしたイチミ③~■


この生活中は、本当にテレビを観た。スポーツ欄以外新聞もよく読んだ。全国紙は地域欄が無いためページ数が少なく、全て自社でまかなっている為か、満遍なく記事が広範囲に書かれていた。

反対に地元新聞は自社でまかなえない為、共同通信社の記事なども成しているので、更に広範囲にページ数もあり「ボリューミー」。読むところだらけだった。


この何年かの虫歯の治療から戻ると、午前中のプログラムは終わり昼。午前中のプログラムが無い土日。何も無い時間によく地元紙は丹念に隅々迄読んだ。

久しぶりに見たTVはそれなりに楽しく、音楽番組は乾いている心を潤わせてくれた。新聞を読んでいても楽しかった。


以前、大学時代の親友に「新聞のラテ欄を意識して文章を書くと良いよ。短く簡潔に伝えたい事から書いているよ。参考にして。」と言われた事があった。

確かにどんな小さな写真すら無い記事でも、短く要点を抑え、結論から書いてある。日記のようなダラダラした記事では無い。起承転結でも無い。プロが日々締切に追われながらも実践で日々研磨している作家には書けない実践的な広告文章。

それを読まない手は無いし、それを読まないのは、「受ける・受け取らないは、別にして『どうぞ、君たちはこの4年間と言う何事にも変え難い時間の中で宝石箱を与えられている。学校の教授が惜しげも無く君たちに教えてくれる授業だったり、友人との関わりや勉強外での時間。そして学校外での時間。

それを宝箱に詰める詰めないは、君たちの勝手だし君たちの自由なんだよ。』という主旨のことを、あるアスリートタレントが僕が大人になれずオトナだった故に、凄い苦しんでいた時代。

何ヶ月間か良い歳をしながら、引きこもった。

風呂とトイレ以外部屋から1歩も出なかった。

その年の冬は雪がどれだけ積もったのかも知らない。

実家の自分の部屋で近所迷惑省みず、叫んだ。モノも壁や床に投げてぶっ壊した。

そんな中で見たネットにあった動画で彼の出ていたTVを見た。

「小汚いアスリート崩れのタレントだよな」真っ直ぐに見ずに、彼も世の中も自分の穿った視線と見方で、この世で大事なモノが何かも全く分からなく、羅針盤も持たずに人生をただ彷徨っていた。分かったつもりになっていた。

そんな程度にしか彼の事もずっと思っていなかった。

が引きこもりのこの生活の中で、彼のこの番組を見て少しづつ『大事なものは何か』分かってきた。

なら、全ての作り手が伝えたい事や、書き手が読者に伝えたい事は?

ならば、スポーツ欄でも事件事故でも三面記事でもない、写真も無い小さな記事でも彼らは仕事とはいえ、言わば「財産」を「無料」で披露してくれている。読まない手は無いでしょう?


毎日1時間以上かけて読んだ。面白かった。情報は敢えて遮断している部分もあるが、自分でダムにしてstopと、流れを止めてしまってもいる。

なら、それは愚かな行為をしている事にも気がついた。だから、読んだ。


ある時、読んでいたら昔の級友が車に轢かれ、意識不明の重体。かなり離れた総合病院に運ばれたと。

何より、能登のどれだけアドバルーンを上げても何も発展をしない街とは言えないエリアに移り住み、新聞に書かれていた彼の住んでいる住所は更に辺鄙な山間部。


最後に会ったのは10数年前。

その後、1度だけ同じ級友の不幸があり、祝日その済ませた野暮用で、わざわざ電話をかけた。が、「今、仕事中だ」と。

後からかけ直すと伝え、改めてかけ直した。

が、仕事中の彼が選んだのはその間に携帯の「着信拒否」。二度と繋がらなかった。

確か地元の南に遠く離れた工業系の会社に勤め、ある時そのエリアの会社で(「雇い止め裁判の集団訴訟」。会社側が敗訴。)一悶着あったよな。

何があってどうなったのかは何となく想像は出来る。が、気になったのは「無職」。確か早くに出来ちゃった婚だったから子どもは相当大きくなっているはずなのに、「コイツ何やってんだ?」全く違うエリアに移り住み、人生を大きく踏み外し、路頭に迷っているな。そんな印象を受けた。

何処の誰か分からない記事やモノは、他人は興味を持たない。本当に誰もが読み飛ばす小さい記事だった。が、読めば、父親が運転する車に轢かれたと。


また、地域欄には自分が通っていた中学の新1年生がコロナ禍で校歌を覚える為、マスク姿で壁に向かいそれぞれが歌う「マスク越しの有酸素運動」。

暗記型の安い授業と物事を横にずらして「軸」をモテないダメなイエスマンのオトナが考えた愚かなアイデア。人的資源の無い国のこれからが、それでも彼らの腕にかかっているのに、コイツらには絶望をする。


また、その斜め下にある記事。

コイツは東山の

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