第14話 ロビンの苦悩
ある日のこと。俺はいつものように家で愛剣の手入れをしていた。すると、
ドンドン!
「ロビン様!いますか!」
この声はグランか?どうしたんだ?こんな急いで?
俺はドアを開けた。そこにはうっすらと汗を浮かべたグランの姿があった。
「!?どうしたんだ?そんなに急いで?まさかまたスタンピードか?」
「あ、いや違う」
違うのか?じゃあなんだ?
「じゃあどうしたって言うんだ?」
「…俺の娘について話がしたいんです」
グランの娘、確かベルだったか?うちのフィリアともよく遊んでるし、相談に乗れるのならぜひ乗りたいと思う。
ひとまず俺たちは家に入った。今フィリアはベルと一緒にこいつの家に遊びに行っている。よってこの家には、俺とレミナとマリアしかいない。
そのレミナとマリアは、今外で洗濯物をしている。
俺たちはダイニングテーブルで話をすることにした。
「で?ベルちゃんがどうかしたのか?」
「この前、洗礼をうけて、
「…っ!」
『~の極み』という
「…なんのスキルを?」
「弓術に射撃、解体術、気配察知です」
どれも猟手にとって欲しいスキルなんだが…
「…なるほど。使い方を変えれば、戦争に使われるか…」
「…はい」
この世界に置いて遠距離攻撃は魔法か弓くらいだ。魔力銃なる古代の産物もあるが、数がとても少ない。なので、戦争に置いて『弓術』のスキルはとても重宝されるのだ。ましてや『射撃』持ち。戦争に使わなくても欲しい貴族なんかはいるだろうな。
射撃:あらゆる遠距離攻撃の命中補正
「なかなか厄介だな」
「はい…」
こいつの妻は、ベルが生まれてすぐに亡くなっている。だから、こいつ1人に全ての負担がきてしまう。それだけはどうにかしないとな…。
「ちゃんとベルちゃんには言ったのか?」
「もちろんです。ちゃんと他の人には言わないようにとは言いましたが…」
「守れるかは分からんなー」
せめてうちの子みたいにしっかりとしていたら話は別なんだがなー。
「ふーん。そういうこと」
「…っ!マリア!いつの間に…?」
「さっきからいたわよ。で?どうするつもり?」
まさかマリアがいたとはな。でも、どうするつもり?か。正直良く分からんな。
「とにかく隠しておかねばならんとは思うが…」
「いつまで持つか、ね」
そう。こんな辺境の村だが、俺やマリアがいるということもあって中々注目を集めているんだよなー。
「あ、じゃあその力の使い方も含めて、フィリアと一緒に王都の"あいつ"のとこで学ばせたら?」
「わざわざ王都まで行かせるのか?むしろ危険じゃないか?」
「どちらにしろ、いつかはバレるんだから。それに"あいつ"ならそこら辺上手くやってくれるわよ」
「確かにそうだが…」
"あいつ"なら任せられるか…?
「それで、ベルは…うちの娘は戦争に駆り出されなくて済むのですか?」
「少なくとも、"学校"にいる間その心配はないわね」
「そうですか…それなら、お願いしてもいいですか?」
「まぁ待て。少なくともベルちゃんの気持ちも優先しないとな」
「…そうですね。帰ったら聞いてみます」
「ああ。それがいい」
「はい。ありがとうございました」
「気にすんな」
グランはその後帰っていった。心なしか来た時よりも表情を明るくしながら。
「にしても、よく思いついたな」
マリアは正直いって"あいつ"のことが嫌いだ。だから、頼るなんて言った時はむっちゃ驚いたんだが…
「だって、"あいつ"以外に頼れそうなやつがいなかったんだもの。それに、フィリアを学ばせようとも考えてたし、そのついでみたいなもんよ」
ついでって…ベルちゃんのその後がかかってるんだが…
まぁ俺じゃあ考えつかなかっただろうし、マリアがいて助かったよ。それにしても…
「…フィリアを王都に連れてくのか?」
俺自身王都が好きじゃあない。だから、フィリアにはいってほしくないんだが…
「あなたが王都を良く思ってないってことは分かってるけどね?いつまでもフィリアをここに留まらせる訳にはいかないでしょ?もっとフィリアには自由に生きて欲しいもの…」
…そうだな、そうだったな。俺たちの都合で実の娘であるフィリアを養子として紹介しなければならなくなったんだから。
…ずっとその事を、マリアは気にしていたんだな…
「ああ、そうだな。今度話してみるか」
「あ、あなたは"あいつ"とはなしておいてね?フィリアには私から言うから」
やっぱりか?まぁ、"あいつ"もマリアが自分のことを嫌ってるって知ってるしな。そっちのほうがいいか。
「ああ、分かったよ」
"あいつ"とは、通信の魔道具で話ができる。
まぁ、話すのはフィリアとベルが賛成してからだと思うがな。
俺たちはその事について、明日フィリアに聞くことにした。
…フィリア、少しは俺と別れること悲しんでくれるだろうか?
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