第13話 カチコミ

 ベルとひとしきり遊んだのち、私は家に帰った。


「ただいまー!」

「おかえり。楽しかった?」

「うん!ベルのステータスすごかったよ!」


 なぜ、こんなことを言ったのかというと、ベルのステータスについてちゃんと考えているか知るためだ。


「あ、そう…聞いたのね」


 なんかあまり聞いて欲しくなかったみたいな言い方だな?


「聞いちゃだめだった?」

「え!?う、ううん。別によかったのよ?…ねぇフィリア?どう思った?ベルのステータスについて…」

「別に、凄いなーって」


 ここは率直な感想を言っておこう。


「…そう。さぁ、晩御飯を食べてお風呂にはいって寝ましょ」

「うん」


 …まだ寝ないけどね。


 私は晩御飯を食べてお風呂に入り、自分の部屋に行った。


 そして、いつものように祈るのではなく、目を開けたままあそこに行きたいと思ってみた。


「あら?どうしたの?」


 …どうしたの?っじゃなーーーーーい!!!


「ひぇ!ど、どうしたの?!」


 ステータスだよ!


「へ?!なんか不満だった?」


 不満どころの騒ぎじゃなーい!!


「だからどうしたの!」


 女神の血縁者ってなに!!


「あ、ああ。そのことね」


 そんな軽いもん!?


「いや、実はね、フィリアちゃんを転生させる時に私と血をわけたのよ」


 なぜ?!


「なぜって、そうしないとこの世界に馴染まないからよ」


 …それって表向きの理由では?


「…バレた?」


 さっさと教えろーー!!


「わ、分かった。分かったから!…えっとー、ちょっとミスって、血が混ざっちゃったんだよね(てへ?)」


 はぁぁぁぁぁ!?どんだけドジっ子なのよ!


「ドジっ子ってお姉ちゃんほどじゃないもん!!」


 お姉ちゃん?


「あ…いや、ほら、ね?血を分けてるから姉妹かなーって前から思っててね?心ん中ではお姉ちゃんって呼んでたのよ、うん」


 いやまあ確かに姉妹?なのかもしんないけどさー…ん?なんでお姉ちゃん?あんたの方が年上じゃないの?


「あ、実はね、私女神になったのつい最近なんだよね」


 神の最近は信じられん。


「…確かに10年前をつい昨日のことのように話す神様もいるけどね?私の最近は正しいよ?」


 ふーん。で?何年なの?


「うーんと、大体7年くらい?」


 本当につい最近じゃねぇか!


「だから、あなたの方がお姉ちゃんかなーって」


 …はぁ。もうそれでいいや。で、後もうひとつ言うことあるんだけど?


「え、まだあるの?」


 職業が女神の使徒ってどういうこと!?


「あー。いやね?前のスタンピードみたいに見逃しがあるかも知んないじゃん?だから、私が気づかないところを発見してもらったり、私が見つけたとこ直してもらったりして欲しいなーって思ってね?」


 …それって暗にサボりたいって言ってない?


「…ソンナコトナイデスヨ」


 怪しい…あ、もうひとつ言うこと思い出した。


「はぁ…なんですか?」


 いや、元はと言えば原因あんただからね?

 まぁ、それは置いといて、私のステータスってこの世界でどんくらいなの?


「うーん、どれくらいと言われると断言出来ないけど、大体その年なら最強?くらい」


 …やっぱり?


「うん、そうだよ。あと、ステータスの値っていうのはLvupでも上がるんだけど、別に走り込みとか、魔法を使って魔力を消費するとかでもあがるよ」


 へー。てっきりLvupでしか無理だと思ってた。

 あ、最後にもうひとつ、お願いなんだけど…。


「?お願い?」


 普通の武器くれない?


「え、あれじゃ不服なの?」


 いや、不服じゃないんだけど、普通に使える代物じゃないじゃん?


「あーまあ確かに神器だしね」


 …いま、サラッと神器って言った?


「うん。言った」


 そんなもんくれていいの?


「だって姉妹だし?」


 妹からもらう姉ってどうなんだか。


「いいじゃん、細かいことは。さて、普通の武器かー…これとかこれかな?」


 頼むから極普通のやつにして?


「分かってるって。でも、ステータス値に耐えられないから、頑丈なのにはしとくね?」


 あ、そこは考えてなかった。まぁよろしく。


「大体こんなんかな?後で確認してねー」


 うん、分かった。


「じゃ、またねー」


 そして私はいつの間にか自分の部屋に戻って来ていた。時間にしてほんの1~2秒くらいってことが分かった。


「時間軸が違うのね…」


 私はそのままベットに入り、意識を手放…そうとした。


「…あん時エルザ地味に私がドジっ子って言ってたよね…」


 そのことを思い出してしまったので。


「また今度文句言いに行こ」


 そして、今度こそ意識を手放した。



 私はこの時、7年前になにがあったのかをすっかり忘れていた。…いや、忘れたかったのかもしれない。


 そしてその事に気づいたのはまだ、先の事だった…。



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