第10話 木田山高校

―――木田山高校。


校門に書いてある表札を通り過ぎる。そこが今、僕が通っている高校だ。

木田山高校って確かへ平均点30点もあれば入れる高校だ。

最低レベルEランク。バカが集結する学校とも言われている。

秋霖学園を受験した僕が なぜ そんな学校に通っているんだろう……。

僕は本当に秋霖学園を落ちたのだろうか…。

それとも、僕は秋霖学園を受験していないのか?

でも、なんで? ―――ズキン…


あ、いた…まただ…頭がズキズキする……


僕はその場でしゃがみ込み頭を押さえる。誰も僕には気づいていないようだ。

次々と僕の横を通り過ぎている。ザワつくしゃべり声も風の音も、

木の葉や草花が揺れる音さえも全てが雑音にしか聞こえない。

誰一人と僕に興味を示さない。

こんなこと、いつもの事じゃないか。


ポタ…ポタ…


あれ? なのに、なんで? 目から何か…零れ…落ちて…


え…これって…涙なのか? 

昔は悲しいなんて…そんな感情なかったのに…。


『大地―――っ』

脳裏の片隅で僕を呼ぶ誰かの声。


誰? 君は誰なの?

 

顔が黒く影っていてよく見えない……。


『大地―――っ』

「―—ん!?」

思わず僕は振り返る。

―――が、僕を呼んでいるような子は誰一人もいなかったーーー。

 

……気のせいか…?


騒がしい足音が次々と横切って行く。僕は呆然と立ち尽くす。

また、耳障りな雑音が鼓膜を刺激する。


さっきの声はいったい誰だったのだろう……。


どこか懐かしいような声…でも…思い出せない……


心の隙間にあいた空白を僕はいつか埋めることができるのだろうか……


『――――--大地……(笑)』



そして、僕はいつか君の事を思い出す日が来るのだろうか……




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