厨二病出現!
やっぱり、小学生の頃が雪遊びするピークだよなぁ。
そう思っていたが……
『久しぶりだな、我が友よ……』
げっ、出たよ、めんどくさい奴が。
真白とメッセージで会話してると、突如通知がピコンと鳴った。
確認してみると、友人の
『白澄、久しぶりだな。まだ厨二病は健在か?』
俺は白澄にそうメッセージを送った。
『くくく、吾輩の力は健在だ。まだ右腕が疼くぞ』
厨二病にかかった人間が発するお決まりの言葉『右腕が疼く』を
メッセージ上で発しているこいつ–––白澄は、俺のクラスメイトで
友人だ。
『はいはい、お前の厨二病が健在してて嬉しいよ。……それより、白澄は
この降り積もった雪で、明日学校休みになると思うか?』
俺は白澄の言動を軽く受け流し、肝心なことを聞いた。
『ふむ、吾輩たちの
それは、悪くないな』
どうやら、白澄にとっても、学校が休みになるのは悪いことでは無いらしい。
頼むから普通に喋ってくれ。分かりづらい。あと白き魂って雪のことか?
『やっぱお前も学校が休みになることを期待してるんだよな……?』
『然り。やはり吾輩も、たまには鬱陶しい学舎から離れ、白き魂と
戯れたいのでな』
いまいちよく分からないが、然りというのは同意の意だと思うので、
白澄も学校が休みになってほしいのだと思う。全く、普通に話してくれれば
良いものを。
『おぉ、お前にも学校休みたいっていう心があるんだな』
『然り。吾輩も疲れているのだ。学舎で学友たちとの交流をしたり、将来立派な帝王になる予定の吾輩に、教育熱心な闇の王から指導を受けたりな……。日々魂が
憔悴している。そんな折、白き魂が学舎を覆ってくれれば、吾輩は白き魂と戯れる
ことができよう』
教育熱心な闇の王、って多分学校の先生のことかな。将来立派な帝王になるって、
お前一体何になる予定なんだよ。
『まぁ、一旦学校からの連絡を待とうぜ』
俺はそう白澄にメッセージを送った。
*
––––翌日。朝起きてカーテンを開けて外を見ると、一面雪景色だった。
こんなに雪景色が広がっているなんて、まるでファンタジーの世界に
迷い込んだようだ。これは、もしかしたら学校が休みになっているかも
しれない。
そう期待していると、母さんが入ってきた。
「雪斗、今日学校休みだって。こんな雪だものねぇ。今先生からお電話が
あったわよ」
母さんはそう困ったように言った。
「お昼どうしようかしらねぇ……。まぁ、雪斗ももう高校生だし、自分で適当に
食べれるわよね。お母さん、こんな雪だけど仕事に行かなきゃだし。父さんももう
仕事に行っちゃったしねぇ」
どうやら母さんは俺がお昼に何を食べるのか、気を揉んでいるようだった。
「大丈夫大丈夫! 俺もう子供じゃねーし、昼くらい自分で調達するよ」
俺は心配させないように、そう母さんに言った。
「そう。頼りになるわ」
母さんは微笑んで居間の方に向かった。
さて、と。今日一日暇になったけど、どうすっかな。俺がそう考え始めた時
スマホが振動した。
真白と白澄と俺の三人で作ったグループチャットから通知が来ている。
『雪斗、今日学校休みだぜ!』
真白から、びっくりマーク付きの文章が送られてきた。
『あぁ、おかげで今日一日ヒマになっちゃったし、勉強でもしようかなと思ってるが……」
俺はそう真白に返す。母さんも父さんもいないし、静かで勉強するにはちょうど良いしな。
『めっちゃ偉いな! 俺なんて一日ゲームしようかなって考えてたんだよな笑』
一日ゲームか。まぁそれも楽しそうだが。
『やはり吾輩の予言通り、学舎は白き魂に飲まれたようだな』
白澄がそんなメッセージを送ってきた。予言? 白澄って予言してたっけ?
『白き魂っての、イミわかんねー! 相変わらず厨二病は健在なんだな』
真白が白澄をからかった。
『失礼な。吾輩は立派な帝王になる予定の男だぞ』
白澄が真白に噛み付く。
『まぁまぁ喧嘩すんなって。こんなに通知鳴り響いてたら俺の勉強が捗らねーし』
俺は二人を宥めた。
『別に喧嘩はしてないって。喧嘩が始まりそうではあったけど』
真白がそうメッセージを送ってきた。
『喧嘩か……。そんな幼稚なことはせん』
白澄も喧嘩を否定してきた。
『でもさぁ、せっかくだし遊びたいよな。もうこのまま三人で遊んじゃうか?』
真白は顔文字付きのメッセージを送ってきた。
『良いな。吾輩も白き魂たちと戯れたいと思っていたところだ。吾輩も、参加しよう」
白澄もどうやらノリノリのようだ。……こーなったら仕方ないか。今日は勉強しようと思っていたが、息抜きに遊ぶのも良いか。
『俺も参加するよ。流石にこの状況でNOとは言えないしな』
俺はそう返信した。
さてと、じゃあ外に出かける準備をするか。俺は寝巻きから外出用の服に着替え始めた。
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