第23話

22〜完〜

着替えを済ませて赤石が支払いを終わらせたあと、クイクイっと袖が引っ張られる感覚がする。

 気づけばそこには東雲がいた。

「服、えらんだから、来て……?」

「え?あ、うん」

 東雲もこの店で選んでいたようで既に服を持っていた。

 だか、少し量が多い。

「えーっと、一日分?」

「ううん、二日分……」

「わ、わかった、着てくるね」

 そう言い試着室に入り着替える。まずは1枚目。

 シートを開ければ、黒のUネックに白の長いズボンというシンプルな組み合わせ。

「これはいいわね、もしもの時の返り血が心配だけど」

「物騒なんだよなぁ、みうを」

「お?なんだなんだ?……彩華似合ってるじゃねぇか!」

 赤石も混じりやんやんやと彩華を褒める。

 それが照れくさくて、

「つ、次の着るから!!」

 シャっとシートを閉めてもう一着を着る。

 一枚だけなのにワンピースなのだとすぐわかった。

「……どう?」

 再度シートを開ければ黒のロングスカートの細かい模様の入ったワンピースだ。

「似合う……」

「こっちも似合うな、やっぱロングスカートはいいな」

「……それは、赤石の好み?」

「へっ!?いや、彩華にはロングスカートが似合うと思っただけであって、別にどんな服でもいいと思うぞ!?」

 若干早口になっている赤石をよそに、東雲は彩華に近づいて全身をよく見つめる。

 そして、うんと頷きほかの人達のように黒いカードで支払いに向かってしまった。

 彩華は疑問に思ったことがあったので赤石に対して耳打ちをする。

「ねぇ、なんでみんなブラックカードで支払いするの?そんな大それた金額稼げてないでしょ?」

 その言葉に赤石はああ、と頷く。

「ああ、あれな。カードは全部お嬢の名義なんだ。お嬢は金に関しても自由だから俺ら高校生の組員にはカードを自由に使っていいって言ってるんだ」

 その返しに今度は彩華が驚く。

 だって黒、つまりブラックカードを何枚も持っていてそのうえ自由に使っていいなんて、と。

「え、羨ましい……じゃなくて、よく渡せるわねそんな大事なもの」

「俺ら高校生組はまだ成人もしてないしな、給料の代わりに使ってんだ。まぁ金遣いの荒くない奴らばっかだしな」

「……おまたせ」

 トコトコとこちらに戻ってきた東雲を見れば支払いを済ませて服で隠れていた巾着のような物を取り出しカードをしまって服の中へ戻した。

「あ、やかちゃーん!!」

「この声はお嬢……?」

 少し離れた位置から声がしたかと思えばキラキラした笑顔でロリータ専門店で黒紅が手を振っている。

 そう、ロリータ専門店から。

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喧嘩してたらヤクザに攫われ仲間入りを果たしました 真宵猫 @mayoi041

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