第22話
21~完~
蝶野がいたのはこちらもブランドのお店、それも女性専用の店だ。
「ま、また高い店……」
「せっかく綺麗な顔なのに勿体ないわよ。ほらこれ」
渡された服を手にまた試着室へ向かう。
「……ど、どう?」
レースの紺色のブラウスに膝丈のフレアな黒の下に白のレースが入ったスカートでこちらは大人の女性のもの。
「うん、私の目に狂いはなかったわ。どう?」
「これも、なかなか……」
じゃあいいわね、と言いながら蝶野も黒いカードで支払いを済ませてしまう。
また紙袋を手に持っているが、ふたつあることに謎を持った。
「そっちの袋は?」
「ああ、私の分よ。ついでに買いたいのがあったから」
「ニナ、ボクが持ちますよ」
そう言いながらスマートに荷物を持ってしまった。
「おーい彩華ー!こっち来てくれー!」
少し離れた店から赤石が呼びかけてくる。
「湊、ちょっとカフェに行かない?喉が渇いちゃって」
「ええいいですよ。彩華、一階のカフェにいるので終わった者から来るように言ってください」
そう言って二人はカフェの方へ行ってしまった。
とりあえず赤石のところに行けばニッコリ笑顔で神無月達を見ている。
「?どうしたの赤石」
「いやー……これ秘密なんだが……湊のやつニナのことが好きなんだよ」
「ええ!?」
唐突な言葉に驚いてしまう。
「恋焦がれる方ってニナちゃんのことだったってこと!?」
「ちょっ!しー!しー!」
口元に人差し指をつけて大きな声を抑えるよう勧めてくる。
ハッとして口を手で覆って二人の方を見たが気づかれてないらしいようで赤石と彩華は安心する。
「あ!そうそう服だよな!この店行こうぜ!」
そう言って向かった店は全国チェーンしてる庶民にも安心のお店で安心した。
「これとこれとこれな!着てみてくれ」
渡された物を持って試着室に入って着替え、シートを開ける。
英語がプリントされた白のTシャツにジーンズの膝丈のゆるりとしたズボン。それに加えてキャップをつけている。
「に、似合う……?」
「……よ、よく似合ってるぜ!」
「なんでこっち見ないの?」
「いや、あ、足が見えてて……」
生足如きに何も言ってるのか分からないが、さっきまでの高い服に比べてとても安心する。
「赤石、私これ気に入ったわ」
「そ、そうか!じゃあ買ってくるから制服に着替えてくれ!」
彩華の方に顔を向けずにそう言うとシートをシャっと閉めてきて頭に?が出る。
「……とりあえず着替えるか」
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