第21話

20〜完〜

「家族って言っても……所詮は他人じゃない」

 肉親だってこんな風にはしてくれなかった。

 それなら尚更赤の他人がそれ以上のことをしてくれるわけが無い。

「彩華ちゃん」

 掴まれてた手を更にぎゅっと掴んで彩華の目をまっすぐ見つめる黒紅。

「今は分からなくてもいいんだよ、でもいつか……ううん、そのうち分かる時が来るからさ」

 手を持ち上げてニコリと黒紅が笑う。

「その時はたっくさん、甘えてね!」

 屈託のない笑顔でそう言うと手を離しまた先頭へ立ち足を進める。

「ほら彩華、行こうぜ」

 赤石が手を取り進む方向へ誘う。

 とても強くて安心するようなその手の温もりに心が少しドクンと波立つ。




「よし!じゃあ彩華ちゃんの服、探そう!」

 街でいちばん大きなデパートに入り、黒紅が声を出すとみんな、おおー!と声を上げ彩華を見つめる。

「彩華に似合う服をそれぞれ選ぶのも楽しそうね」

「とりあえず1週間分だから七着くらい買おうぜ」

「腕の見せ所ですね」

「……頑張る」

 それぞれが何故かストレッチを始めてそれぞれの店へ向かっていく。

「服か……」

 正直ファッション雑誌は読むことはあるが、自分の服となると粗雑になってしまう。

 まぁモデルの蝶野がいるくらいだから余程奇抜な服は持ってこないと思うが。

「皇さん、来ていただけますか?」

 神無月に呼ばれ、店に入れば女性用のシンプルな服が多い店だが、

「ここ、結構なブランドじゃない……?」

「いいじゃないですか、高校生にもなればこのようなものもいいものですよ。ああ、こちらの服を着て貰えますか?」

 そう言いながら渡してきた物を受け取り試着室に入って着替える。

 肌に触る服が上物だとわかる。

 そして試着室のシートを開ける。

 襟元に小さなキラキラした小石がついたブラウスに赤い茶色のロングスカート、シンプルだが女性らしい品だ。

「うん、よく似合ってますよ」

「……スカートは制服以外着たことないから凄い不思議な気分」

「着てみていかがですか?」

「……凄く、いい」

「ではこれを購入しましょう」

 そう言って手に取ったのは黒いカード、それを店員に差し出し手早く購入を済ませてしまう。

「神無月って、モテそうね」

「そうですか?……まぁボクは不特定多数の人に好かれるより恋焦がれる方に惚れていただいた方がいいんですけどね」

 くすくすと笑いながらそう話す神無月はちょっと大人な感じがする。

「彩華、こっち来てちょうだい」

「あ、うん」

 今度は蝶野が呼ばれ神無月の方を見れば紙袋を持って動ける状態になっていたので一緒に蝶野の呼ぶ店に向かう。

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