第20話

19~完~

正直彩華自身も興味もないのでとりあえずその辺にあるテスターのスマホをいじったり売り物のカバーなどを見てみる。

「色々あるなー……」

「せっかくいいやつ買ってもらえるんだから、デザインとかもいいやつ選ぼうぜ」

 ひょこっと顔を覗かせる赤石はちょっと楽しそうだ。

「茶色とか?彩華の髪と同じのとか」

「ピンクではない感じですね、ワインレッドのような大人の色も似合うと思いますよ」

「……これも合いそう」

 やんややんやと言い合いながらお店の売り物を見てるみんなを流して横目で価格を見てみると、みんなが手に取るものは値段が高いことに気づいてしまった。

「いや、一番安いのにしよう。ほらこれとかシンプルで安いし……」

「でも結局高いスマホにするんだしいいじゃない」

「ええ……」

 彩華の意見はそっちのけで手に取られたケースは深い赤を混じえた赤茶のスマホケースで、さっきまでプラン等を相談していた真宵がスマホを手にこちらへ向かってくる。

「買えたよ!はい彩華ちゃん!」

「う、あ、ありがとうございます……」

 渡されたスマホを持ち、見てみるとシンプルな画面。

 初めて持ったそれを鏡のように顔に映る。

「あ!スマホケース決めたの!?じゃあそれも買わなきゃ!」

 蝶野が持っていたワインレッドのケースを持ってスタコラサッサと買ってきてしまう。

「あの、やっぱり……」

「お金はいいんだよ!これから僕の命令は絶対だから、このスマホも大事にすること!これも命令だよ!」

 目の前に手をビシッと出してそう言い上機嫌になりながらスマホケースをスマホと一緒にして彩華に渡す。

 そしてそれを確認し、一度頷いたあと

「じゃあ次は服買いに行こ!」

 そう言いながらお店を出てしまう。

 それに続いてほかのメンバーもついて行く中、楽しそうにしてる皆に対して引け目を感じてしまう。

 いや、引け目というより疑いの間違えかもしれない。

 (なんで私なんかにこんなにしてくれるの?)

 今までの親は私を蹴落とすばかりだった。周りはその目付き故に友好的にしようとする人がいなかった。

「ねぇ」

 一言放てば皆振り返ってくれる。

「……なんで、私なんかにこんなにしてくれるの?」

 分からない、分かりたくない。

 分かってしまったらそれは

「なんでなんて言わないで!」

 彩華の手を取りぎゅっと黒紅が握りしめる。

「だって僕らはもう家族なんだから!」

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