第19話

18~完~

「守って……くれる……?」

 なぜ?そんな価値ないのに、迷惑にしかならないのに。

「お嬢達に、言わないでください……自分のことは自分で片付けますから……」

「……」

 顔と手を離してうんともすんとも言わない月白。

 だが、不思議と黙っていてくれると思ってしまう。

「彩華ちゃーん!!」

 正門前にたどり着きそうな辺りで黒紅組のみんなが待っているのを見つける。

「やっぱり逃げようとしたんだね!分かっていたとも!でも、悠ちゃんに頼んでおいて正解だったね」

 そのまま黒紅は彩華の腕にぎゅっとしがみついて歩き出そうとする。

「ちょっとお嬢、周りの目が気になるから……」

「周りなんて気にしなくていいじゃん、君は僕らの家族なんだからさ!」

 家族、その言葉に温もりを感じた。

 無理やり組入りさせられて家族だなんて、いい意味で自分勝手な人なんだと痛感する。

「彩華、左の頬が赤い気がするが何かあったか?」

「……いや、なんでもないよちょっと擦っただけ」

「後で麗羽ちゃんに治して貰おうね!それより彩華ちゃんのスマホデビューにレッツラゴー!」

 しがみついたまま歩き出す黒紅につられてそのまま歩き出す彩華。

 いつもこの子にはペースを乱されるなと感じながら歩いていく。

 学校から10分程歩いた先は割と都会的で色んなお店が立ち並んでいる。

「スマホ屋さんどこだっけ?」

「もう少し先ッスね、あと彩華の服も選んでやりましょうよ」

「あら、そんなに持ってないの?」

「これは面白いことが出来そうですね」

 やんややんやと高校生らしく買い物を楽しみにしてる中にいる彩華だけは少し重たい空気がある。

 こんなところ、さっきの先輩二人に見られたらと思うと少し憂鬱だ。

「あ!スマホ屋さんあった!」

 ぎゅっとしがみつかれていた腕が引っ張られ自然と足が早走りになる。

 店内は夕方だからか少し人が少なくていい時間に来れたと実感出来る。

「いらっしゃいませ、今日はどのようなご要件でしょうか?」

 店員さんが恭しく頭を下げて要件を聞きに来る。

「この子スマホデビューなの!オススメのスマホが欲しいな!」

「かしこまりました。それならアエフォンの最新版はどうでしょうか?容量も多く便利な機能が含まれております」

 オススメされたものを黒紅が勝手に決めていってこちらのことはあまり気にしてないようだ。

 

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