第17話

16~完~

「今失礼なこと考えてなかった〜?」

 ムスッとこちらを見て疑いの眼差しを向けられる。

「いや、ただ小さいなーって……」

「それが失礼だって言ってるのー!!僕だって少ししたらあと五十は伸びるんだから!」

「いや無理でしょ」

 なにをー!と言いながらまた突進してくるが今度は黒紅の頭に手を置いて近づいてこないようにする。

「うおおおおぉ!!」

「いや、思ってたより力あるんだねお嬢って」

 身長の差があるものの、若干押され気味に感じるそれにやはりそれなりに強いのだと確信する。

「そりゃあ日々重いものを持ってるからね!」

 じゃらと出てきたのはどこに隠していたのか簪やナイフ、暗器のようなものが山のように現れる。

「は!?何それ!?」

「僕の武器だよ?いつどこで襲われるか分からない身分だから護身用に持ち歩いてるの」

「過剰防衛でしょ!」

「まぁまぁ」

 黒紅の肩を両手で持って神無月が離してくれる。

 黒紅を体を屈めて落とした暗器をどんどん体に直して行くのを見ながら第四稽古場に行こうとする。

「あ!待って彩華ちゃん!」

 ぎゅっと裾を持たれ振り返る。

「何?」

「LEONの交換しとこうよ!グループに入れるからさ!」

 そう言いながらスマホをこちらに見せてくる。

 だが、交換することは出来ない。

「ごめん、私スマホ持ってないの。だから交換出来ないの」

 高校生になればバイトをするなりして持てば良かったが毎日喧嘩に明け暮れていた自分にはそんなこと出来なかった。

 もし仮にどこかに付くことが出来たとしても喧嘩を売りにくる人がいたらお店に迷惑だ。

「そっか……じゃあ買いに行こう!」

「……え?」

「学校終わったら正門前に集合ね〜!」

 そう言いながら走り去っていく。そのまま神無月と東雲も黒紅に着いていくように走っていった。

「買うって……」

 本気なんだろうか、ただ組の仲間になった程度の関係なのにそこまでしてくれるとは。

「何か、裏があるんじゃ……」

 そう思いながら第四稽古場へ向かう。

 先程案内された第四稽古場へ着くと既に沢山の人が道着を身にまとい、正座して精神的に集中してるようだ。

「……失礼します」

「ん?ああ君が新しく転校してきた皇さんか。よし、じゃあ市野、咲希、採寸お願いしていいか?」

「分かりました」

「はい!」

 呼ばれた二人は倉庫のようになっている部屋に彩華を連れていくようにする。

「えっと、すみません採寸させるような状態になって……」

「いいわよ。ねぇそれよりもさぁ」

 胸やウエストを測っている市野が口を開いた。

「真宵様とどういう関係なの?」

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