第14話
当たり前のようにお弁当を用意されてると言う事実と、頂いて良いのだろうかと言う思いが彩華の頭で回る。
「えっと、私、貰っていいの?」
「もちろんです!……あ、でもこの学校は購買や食堂も有りますから、もしそちらにしたい時には一言言って頂ければお弁当は作りませんので」
「麗羽さんの料理は、どれも美味しいので学校のある日はいつも楽しみになるんですよね。料亭ができそうなレベルで」
「ほ、褒めすぎですよ神無月さん……私もまだまだお料理頑張らなきゃですから……!」
賞賛の声に少し俯いて顔を赤くする麗羽はとても可愛らしい、そしてその言葉にお弁当の中身が気になって少しソワソワする彩華。
「そういや、麗羽さんよく生徒会室に彩華がいること分かったんすか?教室にいると思いますけど普通は」
「さっき窓から月白様とお嬢様が降りてきて中庭に逃げたのが見えましたし、お嬢様ならはしゃいで彩華さんを連れ回してると思って」
(おみとおしって感じ――)
クスクスと笑う麗羽をじっと見つめれば「お嬢様のことですからね」と言った。
そして時計を確認したあと、
「ごめんなさい、お友達と昼食をとるので早めに教室に戻りますね」
「え!?もうそんな時間!?」
「あーあ、もう昼休憩の時間になるな」
「そういえば、お腹がすいてきましたね」
麗羽は扉を開けて一礼した後、扉を閉じて教室に向かった。
「さてと……俺らも掃除はここまでにして飯食いますか」
――――あれから数十分後、
食堂に集合と言われお弁当を持って食堂に来たが。
「うわぁ、すごい人の数……」
学校の半分以上の生徒が集まってる食堂は大賑わいだ、皆思い思いに食を取っている。
「彩華!こっちこい!」
少し遠くから声がする。そちらの方向へ目を向ければテラス席に赤石、蝶野、神無月、東雲が座っているようだ。
「こっちこっち、早くおいで彩華」
「早く食事にしましょう?」
「……おなか、すいた」
周りからの視線が気になる中、テラス席に到着すればキラキラとエフェクトが出てるような人達に圧倒されてしまう。
「えっと……お、お嬢は?」
「お嬢はあっちよ」
蝶野が指さす方向を見れば、テラス席の上、螺旋階段の先のテラスのソファに月白と座ってる。しかも月白の膝に乗って食事を取ってるようだ。
「僕らは黒紅組ですから、こちらの席で特別に食事を取るようにされてるんです」
「もう一人、うちの組じゃないけど許されてるやつもいるけどね」
「え、だ、誰?」
そう問うとみんな目を合わせたあと、笑いあって「また今度紹介する」と言ってお弁当をテーブルに出す。
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