第13話

「だから!部屋で暴れんなっていつも言ってるでしょうが!!」

 赤石の前で黒紅と月白は正座している状態だが、聞く耳持たずなのか爪をいじったり上の空だったりだ。

三時間目のチャイムも鳴ってしまった。早く授業を受けたい身ではあるのにこのままだとお昼まで授業は御預けだろうか。

「お説教飽きたー……」

「……」

「あ!こら!足を崩すな!大体二人は組の頭だっていう自覚を持ってだな……!」

「散れ!!」

 赤石が怒っていた途中、黒紅の声に反応し黒紅、月白、あと何故か東雲が窓やら扉やらから瞬時に消えてしまった。

「あ!待っ……!!クソ……また逃げられたか」

「おやおや、困りましたね。部屋の片付けも残ってるのに」

「あー……私でよかったら片付け手伝うけど……」

 そう彩華が言えば少しバツが悪い顔をしながらも「ありがとうな、手伝ってくれ」と赤石が笑う。

 壊れた椅子やテーブルを持ち上げて隅に置いて散らばった破片をホウキで掃除しながら彩華はふと口にした。

「そういえば神無月はなんで組に入ったの?」

「僕ですか?。……大層な理由はありませんよ、ただの親への反抗です。父親へのね」

「反抗……そんな事でヤクザに?」

 随分アグレッシブな反抗期だな、と思いながらも神無月の顔は曇って見える。これ以上聞くのはもっと付き合いが長くなってから聞くべきだろうと思い、無言の時間が流れる。

 そして掃除が終わる頃もう四時間目のチャイムも随分前に流れてしまった状態でコンコンと扉をノックする音が部屋に響く。

「あ、良かった。彩華さんいらっしゃいました」

 開いた扉からは昨日彩華にお茶を運んできた少女が現れた。

「あ、えっと昨日の……」

「お名前言ってませんでしたね。麗羽 結衣(うるは ゆい)と言います。この学校の高等部の一年生なので後輩にあたります」

 そう言いながらぺこりと頭を下げる麗羽にこちらも頭を下げてしまう。

「麗羽さんどうしたんすか?授業をサボるなんて珍しいッスね」

「きちんと先生にお許しを得てますから、実は今朝彩華さんに渡しそびれたものがあって……これ、今日のお弁当です」

 手に持っていたお弁当をこちらに渡してくれる。

「え!?お、お弁当!?」

「おや、龍は教えてくれなかったのですか?」

「ああー……そういや言ってなかった。すまん彩華」

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