第7話

「よっと」

 器用に足で襖を開けながら入って行く。

 部屋には既にベットや机、椅子など一人部屋にちょうどいい茶色で統一された自然な部屋だった。

「お嬢が用意したんだぜ?あんたの瞳が茶色だから自然な部屋にしようって、張り切ってたよ」

 よいしょっと彩華をベットに寝かせ近くの椅子に座る。背もたれの部分に腹をやった状態で上のところに腕を組み彩華の方を見る。

「何?」

「いや、昔の俺に似てんなーって思ってな。俺は自分から中学の時すげぇヤツがいるって聞いて喧嘩売ったんだよ。それがお嬢でこてんぱんにされてさ、でも筋は良かったから気に入られて組入りした後若頭までのし上がってやったんだ。まぁそのせいで仕事は山積みだけどよ」

 椅子をゆらゆらさせながらそう話す姿に親近感が湧く。

 こいつも気に入られて組入りした、そのうえでのし上がったのだ。その事実が凄いと思う反面羨ましいと感じてしまう。

 誰かに認めて貰えている、それがとてもとても羨ましい。

「あんたさ、名前赤石何って言うの?」

「俺か?龍だ、赤石龍(あかいしりゅう)。よろしくなっとまだ動けないんだったなすまん」

「私は皇彩華、下の名前で呼ばれるの照れくさいんだけど……」

「そうか?可愛い名前でいいじゃねぇか」

「かわっ!?」

 顔が赤くなる。可愛いなんて言われたことなかったからだ。

 いつも鋭い目付きが邪魔して友好的に接してくれる人間なんていなかった。だからなんだか嬉しい気持ちになる。

「ああ、ちなみに彩華は明日からうちの学校に転入することになってるからな」

「……え?」

 転入?なぜ?

「はぁ!?なんでよ!ていうか元の高校はどうなんのよ!」

「落ち着けって!元の方は彩華の母親がちゃんと退学届けを出してるはずだ。まぁちょっと特殊な高校だが、良い奴多いしすぐ慣れる慣れる」

「だからってなんで!高校まで一緒じゃないといけないのよ!」

 大声でそう言うとはぁと一つため息をつかれ真剣な瞳でこちらを見据える。

「彩華には剣術の才能があるらしいんだ。お嬢が言うにはきちんと指導を受ければ剣道の大会を総ナメするくらいってな、逃すには惜しい能力だからうちのノワール武術専門高等高校に入学させるんだとよ」

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