第5話
連れてこられた場所は稽古場のような場所、所々傷ついたりしているあとがあるがそれなりに綺麗にされている。
「皇彩華ちゃん、僕はね君が気に入っているんだよ?だから多少荒っぽく組入りさせようとしてるんだ」
稽古場の中央へ着いた時、黒紅は振り向き彩華の方を向く。
「気に入ってるとか関係ないんだよ、私はヤクザになりたくないから反抗してるのよ」
「ふーんなんで嫌がるのかわかんないけど、僕が勝てばいい話だしね」
余裕綽々な黒紅を見て彩華はふと客観的に黒紅を見つめる。
彩華より十五センチ程は小さい背丈にまぁ認めたくないが、認めたくないが豊満なバストに細い足。
どう見ても力量の差が出そうなその体と表情が合わない、どこからそんな自信が湧いてくるのだろうか。
「喧嘩方法は武器ありで相手に攻撃が当たれば勝ち、どう?」
「……いいけどきっとすぐ終わるわよ。」
隅に追いやられていた竹刀を手にし、正面に見据える。それでも黒紅は余裕の顔をしているからか彩華は少し汗を流す。
「えー……じゃあ審判は俺が務めますわ、お嬢はそのままでいいんすよね?」
「うん!」
「じゃあ行くっすよーよーい……はじめ!!」
まずは先手必勝、彩華が動いた。両手で構えた竹刀を助走をつけて飛び上がり黒紅目掛けて振り下ろす。
だが黒紅はそれをものともしない。最小限の動きで竹刀を避け、膝と肘を使って彩華の体に攻撃を喰らわせようとする。
「っ……!」
わざと足を転がし、コケるような形だがギリギリのところで避けきることが出来た。
(やっぱり喧嘩慣れしてる……接近しすぎるのはやばい…どうすれば…)
頭をフル回転させながら勝利の光をもぎ取ろうと努める。がそれを黒紅は待ってはくれない。
「どうしたの?さっきまであんな威勢良かったのに防御で手一杯って感じじゃん!」
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