第4話
「黒紅組って……ヤクザの!?」
どういうことなのか、突然ヤクザに攫われたかと思えば今後ヤクザの敷居が自分の家となると言う言葉に絶句しそうになる。
「そう、だから君は今日から僕達の家族。仲間だよ末永くよろしくね」
「冗談じゃないわ!!いきなり襲われて連れてこられてヤクザ入りしろだって!?私にだって家族が
……!」
足を踏み出そうとすれば感じる殺気。横にいる大柄な男たちからもだがそれ以上に真宵と呼ばれる少女の近くにいる四人からのものが大きい。
「みんな落ち着いて、彩華ちゃん?だよね。君のお母さんからも了承は得てるんだし問題なしだよ!安心して僕の組に入ってよ」
「了承済って……」
「もちろんこれでね」
黒紅がパチンと指を鳴らせば大男がトランクケースを持ってきて錠を外す。その中にはこの先見ないような大金が入っていた。
これで解決した。つまり、
「私……売られたの……?」
「そ、だから諦めて僕らと楽しく生きていこ?」
嘘だ。信じない、信じたくない。
それを信じれば、だって
「……とわりよ」
「え?」
「お断りよ!!そんなこと私に関係ないし!第一私になんのメリットもないじゃない!」
ガバリと顔を上げ鋭く睨みつける。こんなところで挫折している場合では無い。喧嘩でも同じだ、舐められたら終わりなのだ。
「……ふーん、そういうこと言うんだ」
先程までニコニコと笑っていた黒紅の顔から笑みが失われる。椅子を離れ彩華の前までくると近づきまた小さく笑う。
「じゃあ、喧嘩でもしようか?僕に勝てたら組入りは免じてあげる」
「……わかった、その約束絶対だからな」
――――
「あれ勝てると思います?」
「無理ですよ、あのお嬢様に勝つなんて」
「今回は美羽も参加しないのね」
「……うん」
大男達が並んでいた先、黒紅に最も近かった四人がコソコソと話す。
他の人も同じような反応ながら赤石だけは少しソワソワとしている。
「……もしかしてだけどあいつならいい線行くかもしれねぇな」
「へぇ赤石君がそんなに言うなんて、彼女の事かってるんですね」
「ああ、あいつ基礎がなかなか固まってて応用もきく、それに竹刀をあんな風に使われるとはな、恐れ入ったよ」
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