第2話
「なんで睨んでくるの?」
別に睨んでる訳じゃない。
「調子乗ってんのか?」
あんたらの方が調子乗ってんだろ。
「なんでこんな不出来な娘なの?誰に似たのかしら」
うるさい、うるさいうるさい……!!
もう、放っておいてよ……。
「……っ?ここ、どこ」
見えたのは見覚えのない木の天井、外は夜がふけ初夏の香りが鼻をくすぐる。
体を起こそうとするが思うように動かない。
「あ、起きたんですね。無理しないでください!」
襖の先から女の子が現れる。少し緩く巻かれたようなクリーム色の髪にこぼれそうなほど大きな黒い瞳。西洋の陶器人形のような少女は手に持っていたお盆を彩華の隣に置きお茶を注いでくれる。
「どうぞ、お熱いので気をつけてくださいね」
「え?あどうも……じゃなくてなんで私ここに……と言うかここは何処?」
昨夜の記憶も曖昧だが断片的には覚えてる。
喧嘩をしてて、女の子と男がいて……それで……
「大変そうだねぇ、あ麗羽ちゃん僕もお茶ちょうだい」
そうこんな黒髪のツインテールの……
「ぶふぅ!!?」
「きゃ!!大丈夫ですか!?」
「うわぁ見事な放物線だなぁ」
噎せこんでしまった。だがそれは些細な事。
「あんた昨日の……!!「お嬢ーー!!お嬢どこ行った!?」
襖をぱんっと開き、昨日会った赤石が入り込んでくる。かなり焦ったような表情だ。
「赤石さん!怪我人の近くではお静かに!」
「あ、すいません麗羽さん、じゃなくてお嬢見てませんか!?また逃げられたんですよ!」
「お嬢様ならさっきまで……あれ?」
さっきまでいたツインテールの少女がいない、お茶をすすり人のお茶請けまで食べてた少女が。
「くっそ…また仕事ほっぽり出して脱走かよ」
「げっほ、ごほ、っあんた昨日の赤いやつじゃんか……!!」
「ん?ああ昨日の強えやつ、確か彩華だっけか。いやほんと手荒な真似して悪かったけどあんた容赦ねぇよな」
まだ痛むと顎に付けられた湿布と包帯を軽くなでる。
昨日のあの攻撃でこの程度で済んでいるならかなり丈夫なのだろう。もう少し本気を出せば勝てたかもしれない。
だが、昨日の敗因はこの青年『赤石』ではない。他の誰かの攻撃が原因だ。
「で、私を誘拐した目的はなに?金ならないけど」
「あー……なんて言えばいいか……とりあえず動けるなら来てくれ。お嬢が説明してくれるはずだから」
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