詩・昏睡

桐原まどか

詩・昏睡


世界は今、揺れている。

ユラユラと。


赤子を眠らす、揺りかごのようだ。

照らすのは月明かり。

無謬むびゅうの輝き。


眼を焼かれた人々は彷徨う。焦がれるは光。

焦がれるは久遠の眩さ。


―この手は届かぬ。


咆哮に喉を裂き、遂には膝をつく。抗いもここまでか。


―ならば、この身を裂こう。

鈍色のきっさきが滑る、舞い散るは紅蓮の花弁。


世界は今、揺れている。

微睡みに揺れている。


声もなく、たおれていく。


―やがて、朝が来る。

目覚めぬ世界にも、等しく

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詩・昏睡 桐原まどか @madoka-k10

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