第21話 悪魔に魅入られた人達⓸

やがてくる災害、、、

それを東園寺は言いあてた。

その年の冬、猛烈な寒波による、交通機関は麻痺した。

ーあの、東園寺さんは、このことを言いあてた…ー

また、翌日その翌日と雪は降り続く。

が、翌年、日照りによる、猛烈な渇水が起きた。町々では、世紀末思想が蔓延る様になった。

1999年人類が滅ぶ、と言ったノストラダムスの予言や、1987年、韓国が滅び、北朝鮮が再び、勢い付く、アメリカ大統領が暗殺される、、、などなど根も葉もない噂が街に溢れた。

「かつ子さん」

只野さんが私に声かけた。5月、新緑の眩しい季節の事である。

「ヘブライ語、ギリシャ語の成績上がったんだって?」

3年次に向け、私は専攻する科目を履修手続きを済ませての帰り道だった。森家に世話になっているとは言え、私はバイトがてらによく新宿方面に出かけていた。

「はい、寝食を惜しんで、って言うものですよ。私はすっかり痩せちゃって、、、」

「一所懸命になるのはいいと思います。が、神霊に満たされてはいないみたですね」

え? と私は言った。

「東園寺さんの事気になるみたいですから、、、いいですか、かつ子さん、確かに東園寺さんは、特異な性質があります。が、それが愛により成り立っていないのであれば、やかましい銅鑼や太鼓です。かつ子さんは今、何を信じますか? 主イエスではないですか?」

「はい、確かに、、、」

「東園寺さんの預言は当たります。しかし、なら、どうすれば人は安心立命に至るか? 主イエスはこう仰せられています。神の義と神の国を第一義とし、隣人愛をなせ、と。東園寺さんは、言うだけで何もしない。神に仕えるが如く、人に仕えねば、、、」

確かに。預言の類でびっくりして、私は勘違いしていた。

ー私は何を信じるか?ー

イエス・キリストだ。何を勘違いしていたのか?

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