第11話 神は沈黙しないと言った青年⓷

 周はまだヒロポンを摂取していなかった。当然だ、やり方がわからず、ただ詐田から渡されただけだったからである。当然、私も詳しい使い方は知らない。

「それは詐田から預かったものだ。詐田に返そうとして、置いてあるだけだ!」

「じゃあ、早くその詐田に返しなさい!」

つられて私も大声で言う。

 今日、叔父さんや義叔母さんは家を空けていた。結婚記念日、とゆう事で、2人だけで外出していた。いるのは私と周、それと森家の末妹の貞江だけである。貞江は寝ているのか、分からなかったが、骨肉の争いに巻き込まれるのを、妹ながら感じ取ったのか、自分の部屋から出てきてなかった。

私は周から事情を訊いた。何故、この様な物を渡されたのかを。

「俺、医者になりたいんだ、て詐田に話したら、夜も眠らずやるの、辛くない? て言われて、、、」

 そこでヒロポンを渡されたと言う。「夜眠くならず、頭が良くなり、元気になれるものがあるって、、、実際、詐田の仲間じゃ、これを使って、医大に入れた話聞いた事ある仲間がいる、て聞かされて、、、」

思い切り、周は騙されていた、と私は感じた。

「そのヒロポン使っていないなら、返してお終い? 部屋からのこの匂いは? これってマリファナじゃない?」

周は黙ってしまった。

ー詐田からの差し入れで、マリファナを吸ったか、、、ー

マリファナは幻覚を見る。甘い香りは間違いなく、マリファナだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る