第5話 ゆらぎの中に生きる少女⓸

 今日は快晴だった。昨日の雨が降っていたのが嘘の様だ。

梅雨が明けたのか、私はそう思った。

「かつ子さん、ご飯ですよ」

叔父の妻、節子さんに起こされ、私はキッチンらしいところへ降りて行く。

 昨晩は2階の空いている部屋に通された。緊張のあまり寝付けなかった。私は、ただ、東京にいる事に興奮していた。私はカーラーを解いて、ダッコちゃん人形を丁寧に置いてあるのを確認して眠った。そして今朝を迎えた、とゆうわけだ。

 パジャマをしまい、私は下に降りる。

「義叔母さんありがとう」

私は礼を言って食事にありついた。

「叔父さんは?」

私は不慣れだが、義叔母に訊く。

「もう出かけましたよ。夏前の最終講義の最終日ですからね。かつ子さんも学校を選ばなきゃ」

「私が、ですか? それは無理です」

 今。私の着ている服は、義叔母が用意してくれた物だ。昨晩、これを着なさい、と渡された。有難い。そして学校まで選べば、と言う。こんな降ってわいた話、義叔母ならではだろう。

ー親族ならではか、、、ー

「義叔母さん、では、いただきます」

「はい、召し上がれ」

「義叔母さん、潔叔父さんは大学の教授ですよね、、、」

「何とか、戦地から帰ってきましたからねぇ。潔さん」

義叔母さんは、遠い目をして言う。

「あの頃の若い人で残っている人は、もう、数少ないですからね。本当に、、、才能のある人はみんな戦死しましたから」

ーこれは、聞いてはいけなかったか、、、ー

私はそう思い、聞いていた。






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